『僕は君たちに武器を配りたい』では、20代の若者、とりわけ高学歴ワーキングプアに対して、「ゲリラ戦」で生き残る方法を指南する。著者は、東大助手や戦略コンサルのマッキンゼー&カンパニーを経て、現在は京都大学客員准教授として起業論を教えている瀧本哲史(たきもと・てつふみ)さん。エンジェル投資家でもある瀧本さんは「投資家的生き方」の重要性を強調している。
冒頭に瀧本さんが指摘するのが、「コモディティ化」。もともとは工業製品に対して使われてきた言葉だが、人材についても同様だ。いくらスキルが高くても、例えば「TOEIC900点」のようにスペックが同じであれば、「どれだけ安い給料で買えるか」だけが比較基準になりつつある。「勉強(努力)と収入は比例しない」のだ。
また、就職せずに現役学生が起業することは、他との差別化ができない「コモディティ起業」を生みがちで、「高学歴ワーキングプア」への道に繋がりかねないとも警告。リスクをコントロール可能な範囲で「ハイリスク・ハイリターン」の選択肢を多くとりながら、他のものとは代替できない「スペシャリティ」を目指すべきだと説いている。
最後には、「人生は短い。愚痴をこぼして社長や上司の悪口を言うヒマがあるのなら、ほかにもっと生産性の高いことがあるはずだ。もし、それがないのであれば、そういう自分の人生を見直すために自分の時間を使うことだ」、「人生ではリスクをとらないことこそが、大きなリスクとなるのである」と投げかけている。いわば「決起」を呼びかけているとも言えそうだ。
書名:僕は君たちに武器を配りたい
著者:瀧本哲史
発売日:2011/9/22
定価:1,890円