投資の必要性はわかっているし、興味もある。資金もある。
しかし、日々の仕事に忙殺されるなかでなかなか投資についての勉強ができないという人は少なくないはず。
「医師」もきっとそんな層に入るはずだ。収入はあるが仕事があまりにも多忙で投資について学ぶ時間がない。『収益と節税力を最大化 医師の不動産投資超入門』(パノラボ刊)はそんな医師のための不動産投資の入門書だ。
本書によると、収入が高いものの多忙な医師には不動産投資が向いているそう。そのメリットと具体的なやり方について、著者の森田潤さんにお話をうかがった。
――本書は医師に向けて不動産投資に必要な知識を解説しています。まず、医師という職業に向けた本にしようと思った理由についてお聞きできればと思います。
森田:私たちの会社は2017年に創業したのですが、前職では不動産営業を通じて多くの医師の方々とのご縁がありました。
当時、医師の方々が日頃から仕事に精を出している姿を見ていたのですが、一方でお金に関する知識が乏しかったり、お金の管理ができていなかったりという方も多くいるという印象を受けていました。医師といえば収入が高い人が大半ですが、節税の方法を知らなかったり、金融リテラシーについての知見が少ない方が多かったんです。
――多忙だからでしょうか。
森田:そうです。だから仕方ないんですよ。当時からそうした忙しい医師の方に信頼していただけるような存在になりたいと思っていました。
一方で不動産を売る側というのは、収入の多い医師に高額な物件を買ってもらいたいという思いがあるわけです。ところが、買ってもらった後のアフターフォローはどうかというと、「売りっぱなし」に近い状態になっていることも少なくありませんでした。
長く信頼関係を築いていくために、アフターフォローは不可欠なのですが、前職ではそこが十分にできなかった部分があったので、今の会社では長期的に、医師の方々が負担を感じることなく不動産投資を続けられるようなフォローを心がけています。
また、私自身が生死にかかわるような手術をして、その時に医師の方々に助けられたんです。大きな手術だったのですが、担当していただいた脳外科の先生に命を救っていただきました。その恩返しではないですが、今度は私が医師の方々の役に立ちたいという思いがあります。これも今回の本を書いた理由です。
――医師といえば高額所得者の代表格ですが、手元にお金が残らないケースも多いのでしょうか。
森田:そうですね。使い方次第ですが、そうなっている方もいます。日頃から贅沢している方は手元にお金が残らないことが多いですし、使わない方は貯まっていきますし。
――基本的には高い収入を得続けられる仕事ですが、それでもお金への不安は消えないものなのでしょうか?
森田:勤務医だと、医師といっても「サラリーマン」なので、近年の診療報酬の見直しもあって医療機関の収益が伸びにくくなると、それが医師の給与にも影響します。となると自分の勤め先の医療機関から主となる収入を得ながらも、他の医療機関で外勤をこなしてお金を稼ぐということをしないとなかなか収入が上がらないということが不安の原因としてあるのではないでしょうか。
――医師の年収は平均で1000万円以上と高額です。彼らがお金に対して抱いている不安にはどのようなものがありますか?
森田:やはり税金ですよね。収入が上がるに伴って税金も上がり、思ったよりも手元にお金が残らないというところが不安というかどうにかしたいと考えている方が多いです。
――「入門」とあるように、本書で解説されている不動産投資の知識は初心者向けです。これは最初におっしゃっていたように不動産投資に関心を持っている医師が少なく、リテラシーがある医師が少ないからなのでしょうか。
森田:リテラシーについては持っている医師の方が年々増えていると思います。私が担当している方でも、年齢でいうと28歳から32歳くらいの比較的若い方々なのですが、不動産投資に関心をもっていて、1億から2億くらいの投資は必ずやっているという印象です。
そうやって早めに始めた方がある種のロールモデルとなって、他の医師の方にノウハウを伝えたりしているようです。今回の本は後期研修医や専門医になったばかりの世代の若い勤務医の方に手に取ってもらいたいという気持ちから入門書として書いています。
(後編につづく)
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