すでに知られている通り、日本人の平均賃金は下がっている。
会社員の平均給与は1998年に465万円だったが、2008年に430万円まで下降、2018年には441万円まで戻したが、今後大きく上がるとは考えにくい。サラリーマンの賃金は、緩やかな下降傾向にある。
それでも、日本では「サラリーマン信仰」がいまだに根強い。いわゆる「そこそこ稼げて、安定している」というものである。しかし、それは本当なのだろうか?
安定しているのはまちがいない。でも、安定しながら得られる給料はどんどん下がっている。今のあなたの給料は、客観的にいって本当に「そこそこ」なのだろうか?441万円を例に出すなら、フリーランスでももっと稼いでいる人はたくさんいるだろう。
フリーランスになることが、今後の「勝ち組」への抜け道かどうかはわからない。でも、自分にはサラリーマンしかできないと考えるのはやめた方がいい。サラリーマンをやりながら、副業としてフリーランスとして活動する道もある。大事なのは、常に複数の選択肢を持っておくことだ。
『金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン』(やまもとりゅうけん著、KADOKAWA刊)は、「サラリーマン=安定、フリーランス=不安定」という前時代的な価値観を喝破する。
もちろん、このままサラリーマンをやっていた方がいい人もいる。能力が低く、社内で「仕事ができない人」のレッテルを貼られても意に介さない人と、逆に大きな決裁権を持ち、会社のお金と人を自分の裁量で動かせる「上位層のサラリーマン」である。この両者は、会社員であることのメリットを享受することができる。
一方、会社にいることで損をしてしまう人もいる。本書によると「仕事のできる中堅サラリーマン」がその層にあたるという。この層はまずは「上位層のサラリーマン」を目指すが、その道は険しい。会社の中では上位層を目指す人の行列ができている。
仕事の能力・経験はそこそこあり、社会人としての責任感もある。本書は、それだけでも、フリーランスとして成功できるとしている。というのも、フリーランスの世界の競争相手は、サラリーマンよりも圧倒的に弱く、数も少ないからだ。「フリーランスの世界は競争が厳しくて大変。自分には無理」というのは思い込みに過ぎない。
仕事の納期は守れない、何かあるとすぐ音信普通になる、平気で無断欠勤をする...。そんなフリーランスはざらにいる。そんな中に入れば、「普通の社会人」としてのマナーと常識がわかっている人は、それだけで「信頼のおける人」として見られる。その意味では、社内で同じような実力の人たちの中で競争し、給料に見合わないほど大きな責任を負いながら仕事をするサラリーマンの方が「厳しい世界」なのだ。
◇
では、フリーランスとして仕事をして稼いでいくためには何が必要で、どんなことを知るべきなのか。本書では、その点について経験者の視点から多くの解説がなされている。
会社員は、自分で思っているほど「どこにでもいる存在」ではない。会社の外に飛び出してみれば、給料よりももっと多くのお金を得て、もっと刺激的な仕事に巡りあうチャンスがたくさんある。
会社を辞める必要はない。でも、別の選択肢もある。
本書は自分の可能性について改めて考える機会を与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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