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「過労死ライン」は当たり前 激務の教師を蝕む4つの要因

  • 書名 『教師の悩み』
  • 監修・編集・著者名諸富祥彦
  • 出版社名ワニブックス

近年、「教師志望者」が激減している。

その理由は、「業務が多い」「部活動の指導で休日がない」「保護者からのクレーム対応」など、「ブラックな仕事」のイメージがついていることが挙げられるだろう。実際、小学校教師の1週間の平均勤務時間は57時間29分(平成28年度調査)で、全体の3割が「過労死ライン」を超えている。

■現代の教師が疲弊する4つの要因とは

肉体的にも、精神的にも過酷な仕事であるため、現役教師で悩みを抱えている人は多い。そんな「教師の悩み相談」を専門としてカウンセリングしてきたのが、「教師を支える会」代表の諸富祥彦氏だ。

諸富氏は著書『教師の悩み』(諸富祥彦著、ワニブックス刊)で、多くの先生が抱えている問題や悩みについて、その具体的な対処法を紹介する。

文部科学省の調査によると、精神疾患で休職する公立学校の教師は毎年ほぼ5000人。なぜ、教師たちの心はこれほどまでに疲れ切ってしまうのか。本書によると、その要因は4つあげられる。

1.多忙化・ブラック化
教師の多忙化の要因のひとつに、報告書等のさまざまな書類の量が増えていることがあげられる。また、夏休み中もほとんど休みがなく、研修に追われているのが実情。「仕事の総量の多さ」が教師のストレスの最大の原因といえる。

2.学級経営、子どもへの対応の難しさ
発達の偏りがある子ども、傷つきやすい子ども、かんしゃくを起こしやすい子どもが近年急増しているため、これまでの指導法が通用しなくなっている。

3.保護者対応の難しさ
傷つきやすい子どもたちは、教師の叱責に敏感なため、「あの先生が怖い」と保護者に伝え、クレームにつながる。

4.同僚や管理職との人間関係の難しさ
「管理職との関係の難しさ」は、「教師の仕事全般に世間から向けられるまなざしが格段に厳しくなってきている」ことが関連する。教師の自己管理、自己責任がより強く求められるようになり、教師同士の支え合う関係づくりが困難になっている。

これらの4つの要因を改善させるには、働きやすい職場の環境づくりが重要だ。たとえば、職員室。お互いにお互いを支え合う職員室をつくることで、教師同士が支え合える関係も築けるようになる。

職員室の場づくりで、鍵を握っているのが管理職だ。管理職が変われば、職場の雰囲気も変わるもの。管理職が先頭に立ち、意識的に助けを求めやすい雰囲気づくりに努めること。問題を教師みんなで共有できる場にすることで、教師は安心して働くことができるのだ。

悩みを持つ現役の教員にとって、本書は教師の味方となってくれる。また、教員志望者、子供を育てる親にとっても、教師の仕事の現状がわかるため、役に立つはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

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