子を持つ親としては「できるだけ学力の高い子どもを」というのが偽らざる本心かもしれない。
国語に数学、理科、英語。どの教科も学力を高めるために必要な素養が異なるように思えるが、すべてに通底するものもある。「読解力」である。
学校の勉強や受験はもちろん、社会人になって以降も、文書に書かれている記述から必要な情報を読み取ったり、メッセージを把握する「読解力」は極めて重要だ。まさに生きていくために必須の能力であり、読解力をつけることは生きる力を身につけることだとも言える。
ただ、読解力を向上させるには、よく言われるように「本をたくさん読む」ことが唯一絶対の方法なのか。『14歳からの読解力教室』(犬塚美輪著、笠間書院刊)によると、実は「読んだ本の量」と「読解テストの成績」は、はっきりと関連しているわけではないようだ。
OECD(経済協力開発機構)では、読書と読解テストの成績についての「生徒の学習到達度調査」を世界各国で実施している。2011年の報告書では、「読書」と「読解力」の関連があると示されている。
ただし、重要なのは「読書」が単なる「読んだ本の量」ではなく、「楽しみのためにどれくらい読むか」「読書に対する態度」「読む本の種類」を総合的に評価して「読書への熱中度」と捉えていること。この「読書への熱中度」が高い人ほど、読解力のテストの成績が良いことがわかっている。単にたくさん読めばいいというわけではなく、どんな本をどのように読むか、という読書の質が大切なのだ。
また、読解とは「読んで分かる」ということ。ただなんとなく読むのではなく、言葉と言葉のつながりを自分で作っていかなければならない。なので、読解で重要なのは「読み方」を覚えること。パリンサーとブラウンという2人の研究者は、「読むことがほかの生徒よりもかなり苦手な中学生」を集めて「読み方」の指導をしている。この時の研究で使われたのが、以下の4つ。
1.要約
どんな内容だったかまとめる
2.質問
先生がしてきそうな質問を考える
3.明確化
どういう意味かはっきりした説明をする
4.予測
文章にどんなことが書かれていそうか、読む前に考える
これらの4つを使い、先生とほかの生徒と一緒に「先生役」を交代しながら、その文章の解説をしたり、ほかの生徒に質問することで、楽しみながら読書をすることで、読解力を高めていったという。
「読む」ことは、「分かる」ことにつながっていく。「分かる」というのは、自分の知らなかった世界を拓いていくことでもある。中学生や高校生だけでなく、もちろん大人も読解力は必要。よりよく生きていくため、より豊かな人生を送るためにも本書から読解力を高めてみてはどうだろう。
(T・N/新刊J P編集部)
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