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今、静かに広がっている? 日常で「着物」を着こなすことの魅力とは

  • 書名 お着物一年生
  • 監修・編集・著者名お着物一年生
  • 出版社名U-CAN

年始の初詣や成人式、そして卒業式など、これからの時期、街中で晴れ着姿の女性を見かけることが増えるだろう。

華やかに晴れの日を彩る着物だが、その一方で「着付けが大変」「購入すると高い」「日常では着られない」といった声も多い。しかし今、静かに「着物ブーム」が到来しているようで、日常生活の中でも着物を見かけることができるようになるかもしれない――そう語るのは㈱ユーキャン学び出版部の編集者・大塚雅子さんだ。

「なんとなく、じわじわ人気が出ているのかなって。先日久しぶりに着物の帯をオークションサイトで落札したのですが、以前に比べて気持ち値段が上がっているように感じました。以前はもっと落札しやすかったのですが、最近はライバルが増えてきた感があります」

大塚さんは2年前に着物にめざめ、休日は着物で生活している。昨年3月には着物初心者の指南書である『お着物一年生』(山口さくら著、福服協力、ユーキャン刊)の編集を担当した。
そんな大塚さんに冒頭であげたいくつかの疑問を聞いてみた。

■着物ってちゃんと揃えると高くないですか?

まずは、「着物は高い」というイメージからだ。デパートの中にある呉服店などで見ると、2桁万円から高いものでは3桁万円するものも。とても手を出せるものではないと考えてしまう。しかし、大塚さんの答えは意外なものだった。

「だいたい3000円から購入できます」

なんと3000円! ファストファッションにも引けを取らない額だ。どういうカラクリなのだろうか?

「実は骨董市や、デパート催事の着物市、あとはネットフリマやオークションサイトなどに、格安で出品されているんです。だいたい3000円から5000円くらいが相場ですが、新品だったら3桁万円?の総刺繍のすごくきれいな着物でも、オークションサイトでは2万円を超えることはめったにないです」

3桁万円が、中古とはいえ2万円にしかならないんですか?

「安い理由には、需要の問題があると思います。例えばおばあちゃんが亡くなったとき、大事にしていた着物があっても、身内は着ないからもらいたがらない。じゃあ売ろう、となっても、需要がないから引き取り値はほんとに安い。よほどいい着物じゃなければ、古布扱いで『1kgいくら』です。昭和30年代頃まで普段着によく着られていたウール着物にいたっては『虫がつきやすい』からと引き取り拒否されることも。それで、いろんな着物がネットフリマやオークションに出てくるのだと思うのですが、いくらいいものでもネットでは『失敗してもいい値段』が上限になりますからね」

・着物(正絹/袷(あわせ))...ネットフリマで2500円で購入
・帯(正絹)...デパート催事の着物市で1000円均一で購入

■どんな人に着物はおすすめなんですか?

中古ならば意外と安く手に入れられることが分かった着物。では、どんな人から注目を集めているのだろうか? 大塚さんは次のように述べる。

「この本についてお問い合わせをいただくことがあるのですが、30代の女性と50代の女性の方が多いですね。
50代の女性の方は、子育ても一段落ついて時間にもお金にも少し余裕がでてきたタイミングで着物を...と考えていらっしゃるようです。また、30代の方はもっとポップに着こなす方が多いようで、ファッションアイコンとして椎名林檎さんから影響を受けていらっしゃる方もいます」

冒頭の通りインタビューに答える大塚さん自身も、週末は着物で近所に買い物に行ったりするという。ウール着物のところでも触れていたが、昭和中期頃までは和服が日常で着られるのも珍しくはなかった。しかし、現代において日常で着ると「特別感」を味わえると大塚さんは述べる。

「声をかけられることが多くなりましたね。『お着物、素敵ですね』と言われたり、私を見た若い女性が隣にいた男性に『私も着たい!』と言っているのも聞きました。あとはレストランなんかでは膝に掛けるナプキンを渡されたり。ちょっとした反応なんですけど、大事にされているという感覚があります」

他にも大塚さんがメリットとしてあげたのが、特に40代以降のファッションの悩みを解決するという点だ。

「年齢を重ねて体型が変わった、洋服があまり似合わないと思われている方に、着物はおすすめです。着物の美しい着姿は『寸胴』なので、バストはむしろない方がかっこいい。それに帯を巻くので、気になるお腹は目立たなくなるし、コルセット効果で腰が案外ラクなんです。周囲から気遣ってもらえるし、体型も気にしなくていいというのは、アラフィフ女子には嬉しいポイントです」

 ◇

意外と安く始められて、ファッションの悩みも解決する着物。「着付けが大変」という点については、「まず浴衣から練習してみるといいと思います」と大塚さん。まったくの着物初心者向けに『お着物一年生』は書かれているため、本書を読みながら試してみたい。

大塚さんは着物の魅力を「非日常を味わえること」と述べた上で、こうメッセージを送る。

「着物は高価だというイメージがあります。たしかにいいものは高いです。でも初心者がいきなりいい着物を1枚だけ作る、というのは『ドレスだけ買いました』みたいな話で、かえって着ていくところに困るしお勧めしません。一部の着付け教室では販売会がセットになっていて、初心者なのに高価な着物を買わされて懲りた、なんていう話を聞くと心が痛みます。着物ユーザーの一人としては、着物に興味を持ったらまずは普段着感覚で、気軽にチャレンジしてみてほしいですね。足元はブーツなんかもかわいいですよ」

(新刊JP編集部)

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