まずは、自分の会社の定例会議を思い出してみてほしい。
「責任追及の場になっている」
「資料作りと状況共有だけに重点が置かれ、会議のための会議になっている」
「発言しにくい空気がある」
「建前ばかりが飛び交い、本音は会議が終わった後に批判の形で噴出する」
これらに心当たりがあり、こういう会議のみならあなたの会社は要注意である。
■会議の光景は「その会社の会話の鏡」
『みんなが自分で考えはじめる 「15分ミーティング」のすごい効果』(日本実業出版社刊)の著者、矢本治氏によると、会議の光景は「その会社の会話の鏡」。
つまり、会社の業績や調子だけではない、上下関係や会社の風土までが会議には反映されるというわけだ。上記のような会議が繰り返される会社があるとしたら、その空気は閉鎖的で、抑圧的で、居心地の悪いものだろう。
では、業績好調で、強烈な推進力で事業を推し進める組織では、どのような話し合いや会議が行われているのか。またそういう風土を日々の現場でも作っていくためには何をしたらよいのか。
矢本氏曰く、カギになるのは「会議」という場の問題ではなく、現場メンバーと15分程度のミーティングを成果の出るパターンで行うこと。
この短時間のミーティング(未来視点)を繰り返せば、職場の会話のパターンが必ず変わり、組織の風土にも良い影響を与えることを実勢からも証明している。
■ミーティングで「なぜ?」「どうして?」は禁止
活発な発言・アイデア・提案を妨げるのによくある失敗は「なぜ?」「どうして?」という問いだ。この問いかけによって参加者の視点は「過去」に向いてしまう。
「なぜ今月は成績が悪かったのか」
「なぜできなかったのか」
「なぜ?」によって過去を分析しようとすると、往々にして上がってくるのは言い訳じみた意見になる。これではわざわざ集まって話す意味がない。
忙しい中、集まって話す目的は「より良い未来を創造するため」である。
だから活発にアイデアが飛び交うミーティングに必要なのは「今後何をするか」「みんなで今後何ができるか」という未来視点なのだ。
■このやり方で「参加するだけ」のメンバーはいなくなる!
参加者全員の知恵が結集できるからこそ、ミーティングには意味が生まれる。未来への視点を持っていても、いつも決まったメンバーしか発言しないのであれば、それはいいミーティングとは言えない。
矢本氏は、議題となっているテーマについて3分ほどを使ってメンバー全員が複数のアイデアを紙に書いて提案する方法を提唱している。これによって無難なアイデアが重複することがなくなり、メンバー個々に考える力と主体性が育つという。
◇
効果的な方法を身につければ面談でも長い時間の会議でも日々のコミュニケーション全てにも応用できる。
根底にある問題は、ダメな理由を外(会社が悪い、あの人が... 業界が...)に見つけて他責にしていること。だから自分は悪くないと思っていることだという。ミーティングはそこに気づき行動を変えるきっかけとなる場(育成)になることを最後の章で伝えている。
ダラダラと長いだけでマンネリ化した生産性の低い話し合いや会議が、ちょっとした工夫で15分の引き締まった価値の高い場に変わるヒントが満載。
自分のために、チーム・会社のために、取り入れてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
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