今、「アドラー心理学」がブームとなり、自分らしく幸せな人生を生きようとする人たちが増えています。
アドラー心理学の特徴は、「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、原因論を根底から覆します。
その最大の特徴はトラウマを否定すること。アドラー心理学では、人は過去の「原因」によって突き動かされるのではなく、いまの「目的」に沿って生きている、と説きます。
また、人は変われないのではなく、ただ「変わらない」という決心を下しているに過ぎず、いま幸せを実感できない人に足りないのは、能力でも、お金でも、恵まれた環境でもなく、変わること(幸せになること)に伴う「勇気」であると主張します。
アドラー心理学の知恵を素直に受け入れて実践すると、確かに問題を解消できる人はいますし、夢の実現に向けて、実力がつく人もいます。しかし、その一方、かえって自分が傷ついてしまう人や、人間関係を悪化させてしまう人も少なくありません。
ある意味、アドラー心理学は「劇薬」といえます。だから、強くて固い意志がない人以外には、本来であればお勧めできないのです。
■フランスではアランの『幸福論』のほうが一般的
例えば、フランスでは、アドラー心理学よりむしろ、こちらの方法が一般的です。
それが、アランの『幸福論』。アドラー心理学よりも、より実践的かつシンプルなやり方で幸せになる方法です。自分を不幸にすることなく、暗く沈んだ気持ちを打ち砕き、明るく前向きに、幸せを感じられるようになります。
こんな言葉があります。
(1)あなたが悲しみに浸っているなら
病気だと思って、通り過ぎるのを待ちなさい
悲しみはどうすることもできない感情です。しかも、それにとらわれていると、まわりに伝染して悲しい気持ちにさせてしまう上に、自分自身も悲しみの感情にとらわれ、気持ちを切り替えることができなくなってしまいます。ですから、アランは、
「悲しみに浸ってはいけません。悲しみは病気だと思えば、すぐに抜け出せます。」
と説くのです。
悲しみの理由や理屈をあれこれと考えず、病気として我慢する。
気分や気持ちをメンタルなこととして考えると、ますますツラくなります。胃が痛ければムシャクシャするし、お腹がすくと不機嫌になり、肩がこれば頭痛がしてイライラするでしょう。
気分はもともと身体の状態から生まれてくるものですから、悲しみという気分も、その原因となっている身体の中に押し戻してしまえばいいのです。悲しんでいても何も始まりませんし、悪化するだけ。シンプルかつ最も合理的な方法で対応しましょう。
(2)悩み事が頭を離れないのなら
とりあえず、身体を動かしなさい
心の状態は体調によって左右されます。ですから、アランは、
「身体を少し動かすだけで気分や感情はコントロールできます。」
と断言します。
例えば、もやもやしているとき、公園に行ってランニングをしてみる。すると、頭がスッキリしてきます。ムカムカしているときにスキップをすると、怒りも悲しみも消えてしまいます。
身体を動かすと、不幸を生み出す想像力、ある意味妄想を止めることができるのです。
(3)自分は不幸だという考えが頭から離れないのなら、
無理やりにでも笑顔を作ってみなさい
アランの名言の中で特に有名なのが、
「幸福だから笑うのではない。 笑うから幸福なのだ。」
という言葉です。
これには、幸福だから笑顔になるのではなく、笑顔でいるから幸福になるのだ、ということが端的に説明されています。だから、
「不幸を感じるときほど、意志の力で唇に微笑みをのせてみなさい。」
とアランは説きます。
笑顔になれば、人間関係が良好になります。さらに、ものごとが楽観的に捉えられるようになります。自分で自分の幸福を作ろうという気持ちになるので、幸福をどんどん引き寄せられるのです。
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アランの教えは誰でもすぐに行動に移せるものばかりです。行動すれば、気持ちが変わり、状況もまわりも変化していきます。
アランは、自分は不幸の星の元に生まれてしまったのではないかと悲しみ、絶望の淵に立たされてしまっているような人にも、ただほんの少し見方を変えてみれば、不幸を抜け出し、「幸せ」になれると教えてくれるのです。
早速、自分でもアランの教えを実行したい!という人は、『世界一の『幸福論』が教えてくれた明日がもっと幸せになる方法』(アスコム刊)のような入門書を読んでみてください。
他にもたくさんあるアランの言葉が、実生活での応用の仕方を含めて、わかりやすく紹介されています。
(新刊JP編集部)
『世界一の『幸福論』が教えてくれた明日がもっと幸せになる方法』(アスコム刊)