すごく仲のいいカップルだったのに、結婚したとたんにうまくいかなくなってしまうということは珍しいことではありません。それだけ結婚することで生じた変化に戸惑うことは多いのです。
中でも大きなのは「お金」についてでしょう。
ほとんどの場合、結婚したら家計は一つにしますから、「お小遣い制」になってしまったり、自由になるお金が減ると、特に男性は窮屈な思いをすることが増えます。こんな時、家計を管理することの多い女性はどのように対処すべきなのでしょうか?
今回も、前回に引き続き『愛され花嫁修業~幸せを引き寄せるための6つの教え~』(コレクションインターナショナル/刊)の著者でフィナンシャルプランナーの青柳仁子さんに、お金のことで悩まない結婚生活についてお話をうかがいました。
――貯蓄するにしても投資をするにしても、家計の「支出」をしっかり管理することが重要です。無駄な出費をしがちなものがありましたら教えていただきたいです。
青柳:これは人によるので一概には言えないのですが、家計簿をつけていただくと、何に使ったかよくわからない「使途不明金」が実はかなりあることがわかるはずです。そういったものが一体何に使われたお金なのかを突き止めると、節約の糸口が見つかると思います。
女性であれば化粧品を必要以上に買っていたり、高額なサプリメントにお金を使っていたりということが多いですね。本人は必要だと思って買っているからなかなかその出費を削るという発想にならないのも特徴です。
――次は結婚した後のことをお聞きしたいです。結婚すると多くの場合、家計を一つにまとめますが、この時に注意すべきことはありますか?個人的な体験ですが、急に自由になるお金が減って不自由な思いをしました。
青柳:これがまさにコミュニケーションにかかわることで、家計を一緒にすることの意味を話し合って理解することが大切です。なぜ二人の家計を一緒にするのかというと、将来使うお金や老後のお金を作っていきたいからですよね。その目標さえ共有していれば、いくら貯金して、お小遣いはいくらで、ということは自然に決まっていきますし、不満は溜まりにくいはずです。
もし、家計をまとめた途端に自由になるお金が減ったなら、それは今までが使い過ぎていたと考えるべきです。将来のことを考えずにお金を使っていたものが、将来の計画に沿ってお金を使うようになったということで、むしろ「正常に戻った」ということだと思います。
――家計をまとめた時、どちらが主に管理するかという問題が出てきます。一般的に女性が管理する方が多いように思いますが、こちらについてはどのようにお考えですか?
青柳:肝心なのは二人が納得するかどうかということで、情報共有さえできているならどちらがやっても問題はないはずです。
ただ子育てに関しては、何にいくらかかるかということは女性の方がわかっていると思いますし、生活品の買い物は奥さまが行く場合が多いので、お金の管理は奥さまがする方が何かと便利なのかなとは思います。
もちろん、先ほどお話ししたように、貯めているだけでは将来に対して十分な備えができないはずです。これをわかっていないと、奥さまががんばって切り詰めて倹約して貯金をしたのに、いざ老後になってお金が足りないという事態になってしまう。その時になって「お金の管理を任せていたのに何で貯金ができていないんだ!?」と奥さまの責任にされても困ってしまいますよね。だからこそ運用の大切さを夫婦ともに認識して、貯金だけでなくて運用していくための勉強が必要なんです。お金を管理するのが奥さまであれば、奥さまが運用まで引き受けられればそれがベストだと私は考えています。
――投資を始めたいという人に、まずどんな種類の投資を勧めていますか?
青柳:初心者の方には投資信託を勧めています。投資信託での積立てですとか、毎月一定額を運用に回していくというスタイルですね。
――預金の利子率ではお金が増えないから、という理由で投資を始めるからにはやはり利回りが気になります。
青柳:やり方はいくつかあるのですが、私は年間10%の利回りでやっていけるように教えています。
預金の利子率を見慣れていると、10%はすごく高いように思えますが、投資の世界では特別に高いわけではありません。ミドルリスク・ミドルリターンといったところで、きちんと学べば誰でもそのくらいの利率で運用していくことは可能です。
――運用の利回りというのは、どの銘柄を選ぶかにかかっているわけですか?
青柳:そうですね。ひとくちに「投資信託」といっても、日本で購入できる投資信託の銘柄は、少なくとも3000本くらいはあるんです。そのなかでどれを選ぶかという話になるのですが、私の基準だと運用していい銘柄は1%、30本ほどです。
――「運用してはいけない銘柄」はどういう理由でダメなのでしょうか。
青柳:端的に言えば「利益が出ない」ということです。投資信託をやっている人はたくさんいますが、大半は誰かに勧められた銘柄を何となく買って運用していて、自分で見極めて選んでいる人は少ないですね。
たとえば、銀行や証券会社に行くとおすすめの銘柄を教えてくれますけど、その銘柄でどうやって利益を出していくのかということは、聞いても教えてくれません。投資をする側からすると、「なぜおすすめなのか?」という根拠がわからないわけで、それを何となく鵜呑みにして投資をすると、「気がついたら損失を出していた」ということになりがちです。少なくとも自分の知識と基準で銘柄を選べるくらいの勉強は必要です。
――しかし、他の家事や仕事と両立しないといけませんから、あまり投資に時間を割けない人も多いのではないでしょうか。
青柳:私が指導しているのは長期投資なのですが、長期投資は一度投資したら大体2年から3年はそのままほったらかしなんですよ。せいぜい月に一度チェックするくらいで、毎日投資のための時間をとらないといけないというわけではありません。だから、時間がかかるのは、最初に投資する銘柄を選ぶ時と、それまでの勉強ですね。勉強について言えば、週末を使って週に3時間程度、4~5か月勉強していただいて、半年くらいで実際に投資を始められるように指導しています。
――最後になりますが、結婚を控えた女性や、結婚したばかりの女性の方々にメッセージをお願いできればと思います。
青柳:大きな矛盾なのですが、女性は結婚前にお金のことを話すと、「はしたない」「がめつい」などと言われる割に、結婚した途端にお金のことを全部任されてしまったりします。
急に任されることで戸惑う人はたくさんいるはずで、思うように貯められなかったり、運用ができなかったり、どのくらい貯めればいいかわからないという不安が全部女性にきてしまいます。とにかく一人で悩まないようにしていただきたいですね。
この本ではお金についての基礎知識を解説していますが、それだけでなく、パートナーとのコミュニケーションや子育てのアドバイスなど、大事なことなのに学ぶ場がないことについて広く扱っています。
ぜひ読んでいただいて、一人で悩みを抱え込まず、自分でできないことは誰かに相談できるようになっていただきたいですね。
(新刊JP編集部)
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