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「うつ」「不安」心のトラブルは食事で改善?

  栄養療法という言葉を聞いたことがあるだろうか。 ダイエット関連の言葉ではない。これは、身体(脳)の栄養状態を調べ、不足している栄養素を見つけ出し、それを補うことでうつ病をはじめとする精神疾患を改善していこうとする治療方法のことだ。 うつと食事。意外な組み合わせだと思う人は多いだろう。だが、『「うつ」は食べ物が原因だった!』(青春出版社/刊)の著者、溝口徹氏によれば、「うつに悩む人の95%は食事になんらかの問題がある」という。
 ところで、なぜ栄養療法がうつ症状に効くのか。ひと言でいえば、心と脳が強く結びついているからだ。たとえば、「やる気」は脳が分泌するセロトニンという神経伝達物質の量によって左右される。「何を食べるか」は脳の働きを変えるうえで重要になってくるのだ。 ここでは一例として、本書の第4章「心のトラブルを引き起こす5つの栄養欠損」のなかから、ビタミンB群欠乏がどのような症状を引きおこすのかを紹介しよう。
■睡眠や集中力に問題あり…と思ったら、ビタミンB不足を疑うべし!? まずは以下のチェックリストを見てほしい。あなたはいくつ当てはまるだろうか? 
・アルコールをよく飲む・音に敏感だ・イライラしやすい・集中力が続かない・記憶力が衰えている・よく悪夢を見る・テレビがわずらわしい・本を読んでも頭に入らない。興味がなくなった・寝ても疲れがとれない。とにかく疲れる・口内炎がよくできる
 いかがだったろうか。3つ以上当てはまるようなら、ビタミンB群の欠乏を疑ったほうがいい。ビタミンB群はすべての神経伝達物質の生合成にかかわっているという意味で重要な栄養素なのだ。 本書ではより具体的な例として、長年ひきこもりの状態が続いていた20歳女性のケースが取り上げられている。彼女は、感情のコントロールがきかず、イライラや不安、恐怖などに襲われることが度々あり、自傷行為にもおよんでいた。栄養療法をはじめる前は、13種類もの薬を飲んでいたという。 検査の結果、ビタミンB6のひどい欠乏状態にあること、さらには亜鉛、たんぱく質、鉄なども不足していることがわかり、食事療法を行った結果、3か月後にはいずれの値も改善した。抑うつレベルを見るSDSテストの数値が65から30にまで下がったという(この値が53以上になると、うつ症状と判定される)。
 本書では他にも、低血糖症、鉄欠乏、亜鉛欠乏、たんぱく質欠乏についても、各栄養素とうつとの関係性という観点で解説されている。 また本書では、そもそもの話として、「脳にいい」食事の摂り方についても言及されている点が興味深い。 溝口氏によれば、脳にいい食事とは、血糖値がゆっくりと上がり、ゆっくりと下がっていくよう配慮できていること。そのような食事を実現するための指標として、GI(グリセミック・インデックス)値というものも紹介されている。おもな食品のGI値についての一覧表も掲載されているのでチェックしてみてはいかがだろうか。(新刊JP編集部)

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