2015年も5月が終わり、6月に入ろうとしている。今年の上半期は日本経済に明るい兆しが見える場面もあり、4月10日には日経平均株価が15年ぶりに2万円台に乗った。いったんは調整されるであろうという予測もあったが、5月の後半になっても2万円前後をいったりきたりする状況で、「日本の株価は底堅い」というマスコミの論調も目立ってきている。日本の1~3月のGNP(国内総生産)速報値が、実質2.4%も上昇したことがしたことも発表された。果たしてこのまま日本は順調にリフレへの道を歩むのか?
アメリカは? ユーロ圏はどうなるのか?
『異次元経済 金利0の世界』(集英社/刊)では、“ドクター・ペンタゴン”などの異名を持つコンサルタントの若林栄四氏が、大胆な経済予測を披露。アメリカは長期停滞、ユーロ圏はこれから長いデフレに陥り、日本だけが一人勝ちをするというシナリオを組み立てている。
■アメリカの好景気は「偽りの夜明け」
アメリカは長期停滞に向かう――これは本当なのか? アメリカは今、好景気といわれているが、若林氏の見方はそれとは異なる。「偽りの夜明け」だというのだ。
好景気の根拠となっている雇用統計は杜撰で、例えば雇用の増減もパートタイムでの労働従事者が増えているものの、それが中間層の失業者に対する受け皿になってはいないという。また、失業率も経済実体を知る上で無意味と突き放し、2013年に急速にアメリカの失業率が低下したのは、職を探すのを諦めた人が多くなったからだと説明している。
では、この「偽りの夜明け」は今後どうなるのか? 待っているのは長期停滞だ。
米国の景気を占う最大の関心は、利上げが予定どおり行われるかどうかで、世界中のマーケット関係者がFRB(米連邦準備理事会)が発表するFOMC(米連邦市場委員会)の議事録発表に注目している。4月末のFOMCでは、それまでどおり2015年内のゼロ金利政策解除の姿勢は崩していないが、6月の利上げは時期尚早だという意見がではじめた。いまだに利上げがいつ頃になるのかはっきりしていない。この裏には、FRBがダウンサイドリスク(株価を押し下げるリスク)を恐れており、デフレのリスクがある以上、利上げをできない状況があると若林氏は指摘する。アメリカは日本やかつての大恐慌を研究し、デフレの恐ろしさを知っているのだ。若林氏以外にも、9月の利上げすら難しいのではないかと予測する人々が出始めた。
『異次元経済 金利0の世界』は今年初めに執筆されているが、今のところ若林氏の見方の通りに進んでいるといえる。
また、ユーロ圏はどうか。若林氏はすでにデフレに突入しているとしている。国際金利2%割れが実体経済のデフレ投入のシグナルであり、それに当てはめるとユーロ圏はすでにデフレになっているというのだ。
■一方の日本はリフレに突入!?
最後に日本だ。若林氏の見方によると、すでに日本はリフレへの移行が進んでいるという。リフレは円安、株高、実体経済のベースアップという駅伝形式でやってくるそうなのだが、先頃の円安は実はリフレへの駅伝の第一走者だったというのだ。
そして、2015年は日本と米欧の波動が交錯する年であり、日本だけがリフレの上げ潮に乗り始めるという筋書きが待っているという。
今後、若林氏の予測通りに動いていくのか? それともまたひと波乱があるのか? 2015年も残り1ヶ月で上半期が終わり、下半期へと進んでいく。日本経済はこのまま上向いていくのか? 金利はどうなる? 世界経済の動きから目が離せない。
(新刊JP編集部)
アルバイトを入れたけれどすぐに音信不通になった、新入社員が3日で辞めてしまったなど、離職率が下がらずに困っていませんか? でも、そのままにしておくと、3年後には倒産してしまう…ということがあるかもしれませんよ?
これは大げさな話ではありません。働き手不足で悩んでいる企業や店舗は多く、さらに採用募集のための費用はコストとして経営を圧迫します、。特に中小企業はこの採用費は死活問題になるほど。スタッフが集まらないために、倒産する可能性もあるのです。
しかし、スタッフの定着率を高めるは至難の業。「働きがい」を重視するといわれる若者たちにどう接すればいいのでしょうか?
『やる気と笑顔の繁盛店の「ほめシート」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)の著者であり、一般社団法人ほめ育協会の代表理事である原邦雄さんが提唱する「ほめ育」マネジメントは、人材育成に悩む経営者や管理職の人たちにとって大いに参考になります。
原さんは次のようにコメントをします。
「ほめ育マネジメントの特徴は『スタッフをほめること』です。でも、ほめるだけならばたくさんの本が出ています。私の考えは、スタッフをほめて長所を伸ばし、それをお金に変えるという方法です」
原さんはもともと船井総研のコンサルタントでしたが、現場を見るためにラーメン店に転職。洗い場からスタートしたという異例の経歴の持ち主。その中で気付いたのは、経営者たちが見ていること、話していることと、現場が考えていること、話していることは全く違うことだったということでした。
経営者と現場の従業員は根本的に働く目的も違えば、持っている目標も違います。だから、コミュニケーションの齟齬が起こるのも当たり前。
「そこで重要なのが、お客様に『ほめられる』サービスを提供する目標を設定することが大事です。お客様からほめてもらうサービスをするためには、現場のスタッフたちがいきいきと、モチベーション高く働くことが大事です。そのためにやることが『ほめること』なんです。売上アップにもつながり、また働きがいがあるため仕事をやめることも少なくなります。ただ、スタッフをほめて伸ばす考え方に、絶対に必要なのが「基準」です。ほめる基準はありますか? または、叱る基準はありますか? そう問いたいですね」
この方法で100社以上の業績アップに貢献してきたという原さん。『やる気と笑顔の繁盛店の「ほめシート」』には、この考えのもと、ほめる基準を設定し、「ほめる」マネジメントを可視化する方法が書かれています。その一つである「ほめシート」はこの本を読んだ直後から活用できます。
そして、本書は中国やアメリカでも出版されており(米国は電子書籍としてアマゾンキンドルにてリリース)、高い評価を得ているといいます。
「上海の飲食チェーンから講演の依頼がきたり、東南アジアの企業から研修をお願いされたりするなど、『ほめること』の重要性は世界共通だということが実感できました」
世界に広がる「ほめる」ことの重要性。すぐ社員が辞めてしまう、なかなかスタッフが定着しないといった状況が続くと、経営自体に大きな影響が及んでしまいます。そうならないためにも、原さんの「ほめ育」マネジメントを実践してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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