インターネットやSNSが発達して、誰でも手軽に情報発信できるようになった現代は、便利な反面、個人や企業が誹謗中傷にさらされやすい時代ともいえます。
一個人が、気づかないうちにネット上で中傷を受けていたら、当然深く傷つくはず。そして、企業の場合はもっと深刻です。
「A社はブラック企業だ」「B社は不渡り寸前だ」といった風評がネットで流れたり、それが元で炎上してしまったら、売上はもちろん、採用活動やスタッフの士気に重大なダメージを追うことは避けられないでしょう。
では、企業がネットで炎上したり、悪い評判を流されるのを事前に防ぐために、どんなことが必要になるのでしょうか。
『ネット風評被害』(薮崎真哉/著、ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)から、その方法を紹介します。
■顧客が感じる「ギャップ」が悪評のもと
企業がネットで炎上したり、悪評が立ってしまうケースで多いのは、顧客が想像していた商品・サービスが実際のものとあまりにかけ離れているパターンです。
「広告とはまったくちがう商品」「値段の割にあまりにもお粗末な料理」、こういったものに顧客は敏感に反応し、ネットに書きこみます。すると、その企業や商品にいい印象を持っていなかった人が追随して、あっという間に炎上してしまうというケースは、これまでにもしばしば起こっています。
こういった形での悪評や炎上を避けるには、常日頃から顧客のイメージする商品・サービスと、実際の商品・サービスとのギャップをなくす努力をするしかありません。
アンケートで、顧客の感想を吸い上げて分析するなど、企業と顧客のイメージの食い違いには目を光らせましょう。
■炎上しやすい話題とは?
また、企業側からの不用意な情報発信に対して、批判や反論が集中して炎上、というのもよく見られるパターンです。
特に炎上しやすいのが「自慢話・手柄話」の類。企業が自社の功績を発信すること自体はまちがったことではありません。ただ、自慢話は鼻につくというのもまた事実。どうしても自社の成功談を発信したいならば、くれぐれも控えめに、さりげない言い回しをするのがポイントになります。
■暴言・失言に注意!
もちろん、暴言や失言の類も炎上のもとです。
ただ、あからさまな暴言などはもってのほかとしても、情報発信者が暴言だと思っていなくても、それを見ている人は暴言だと受け取ることもあるので注意が必要です。
たとえば「死んでもノルマを達成しろ!」という言葉が飛び交う職場で働いていると、無自覚に「死んでも○○しよう」といった言葉をネット上で出してしまうことがあるかもしれません。しかし「死」という言葉自体、見る人によっては刺激が強いもの。企業を代表して情報発信する人は、自分の言葉が相手にどう受け取られるかというのは、常々考えておくべきです。
■社員向けガイドラインを作る
たとえ一個人が匿名で発した情報であっても、ひとたび炎上するとかなりの確率で個人情報や所属企業が特定されてしまう時代ですから、会社としてスタッフにネットでの情報発信のルールとマナーを教育するのも大事なことです。
「SNSで喧嘩を仕掛けない」「自分自身の誤りは素直に認める」など、ガイドラインを作って提示することは、企業の炎上リスクを減らしてくれます。
ネット上でひとたび炎上したり、悪評が流れると、その汚名をすすぐのには大変な労力がかかりますし、対応を間違えるとさらなる炎上を招きます。
「炎上を事前に防ぐ秘訣」だけでなく「炎上してしまった時の対処法」も、今の社会では必須です。本書にはどちらについても詳しく解説されていますので、企業も個人もリスクを避けるために勉強してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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