「深海魚」というと、いかにも不格好でグロテスクな魚を思い浮かべてしまいますよね。
でも、「あんきも」がお馴染みのアンコウしかり、煮つけると最高なキンメダイしかり、食べるとおいしいのも深海魚の特徴です。
『食べられる深海魚ガイドブック』(落合芳博/監修、21世紀の食調査班/編、静岡県水産技術研究所/協力)は、そんなおいしくて、ちょっとグロい深海魚たちの生態と調理法それらを使った料理を出している飲食店を教えてくれます。
■復活した秋田の名物「ハタハタ」
秋田の郷土料理として名前はよく知られている「ハタハタ」ですが、深海魚だということはあまり知られていません。
生息域が水深100~400mというハタハタは煮つけや焼き物、干物など調理法はさまざま。どれも独特のプリプリした食感が楽しめます。
秋田のハタハタは一時期激減していましたが、漁獲制限によって奇蹟的に復活。都内では、有楽町の「ハタハタ屋敷」という居酒屋でさまざまなハタハタ料理が提供されています。
■手をケガしても食べたい?トゲだらけのカニ
東京湾あたりから九州にかけて、水深180~400mに生息する「イガグリガニ」は、一般的なカニと同じように茹でたり蒸したりして食べると美味。
しかし、難点はその見た目です。名前の通り、「イガグリ」のようなトゲが全身を覆っているので、身を取り出すのが大変に困難。トゲが刺さった時の痛さは毛ガニの比ではありません。
■ユニークな顔、でも静岡の珍味「トウジン」
最後は、「いかにも深海魚」というユニークな外見の魚を紹介します。
水深240~1000mに生息する「トウジン」は、まるで西洋人のような、尖った高い鼻が特徴的で、静岡県沼津市近辺では「ゲホウ」と呼ばれ、食されているのだとか。
良質な白身はタラに似ていて、刺身でも煮物でもおいしいといいます。
この魚を提供している沼津の魚重食堂は深海魚料理で知られ、「深海天丼」「深海魚刺身定食」なるユニークなメニューがあるのだとか。
いかがでしたか?
本書で取り上げられている深海魚は、普通に魚屋さんに売っているものから、なかなかお目にかかれない稀少魚まで、そしておいしいものからあんまりおいしくないもの、そして食べるとお腹を壊すものまで(!)実にさまざま。
見た目で敬遠することなく、自分で調理したり、飲食店に足を運んで食べてみると、新しい食の世界がひらけるかもしれませんよ!
(新刊JP編集部)
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