ダンゴムシを空き箱に集める、裸で急に走りだす……男の子の言動は、子育て中のお母さんからすると謎の行動ばかりな上に、何を考えてこんなことをするのかと理解に苦しみ、何回叱っても直らないということは多いでしょう。
『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(小崎恭弘/著、すばる舎/刊)では、どんな言葉をかければ男の子が言うことを聞くのか、どんなふうに関われば男の子が変わるのか、3人の息子を持ち、自身も3兄弟の長男で、高校生の頃から「キャンプのお兄さん(青少年活動)」として男子と関わってきた元保育士である著者が、その方法を紹介しています。(*1)
■母親にとって男の子の行動が謎だらけなのは“当然”
男性からすれば、子どもの頃を思い返してみて、「わけのわからないことをしていたなぁ」くらいに振り返り、男の子の意味不明の行動にも理解ができるかもしれません。
しかし、お母さんから男の子を見ると理解できない言動ばかり。男の子は“永遠の謎”だと思っているのではないでしょうか?
でも、それは仕方のないことと割り切った方がいいと小崎さんは言います。お母さんは「女の子」として生きており、息子は「男の子」を生きています。個人差は当然あるけれど、男女では身体だけでなく、考え方や思考が違うもの。息子に限らず、お父さんの言動を見ても、「なぜ?」と理解できないことは多いはずです。男の子のもっとも身近でわかりやすいモデルとしてお父さんが存在していると考えると、理解できないのも頷けるのではないでしょうか。
■男の子を叱るときのコツとは?
理解できない行動が多いとはいえ、かわいい息子。できれば優しく諭してほめて育てたいと思うところですが、現実は息子との戦いに明け暮れる日々。叱ってしまうこともあるはずです。これも、お母さんは息子にきちんと、そしてちゃんと育てたいと思っているゆえ。でも、男の子側からすれば、ちゃんとしたくないし、きちんと育ちたいとも思っていません。親が考えている以上に自由だ。そんな男の子たち一人ひとりが必ず自ら育つ力を備えているはずなのに、お母さんも含めて周りの大人や社会がその力を信じていないという一面もあります。男の子が本当の力を発揮するまで待つことも必要です。
とはいえ、叱るべきシーンは必ずあります。一体どうすればいいのでしょうか?
あれこれ盛り込まずにビシッとシンプルにひと言で伝えるのが理想的。今ここで直してほしいことを一つにしぼって言いましょう。また、「今度○○したらテレビ一週間禁止!」という罰ありの叱り方はNG。男の子は懲りずに同じことを繰り返しますから、叱っている自分がだんだんと疲れてきてしまいます。
男の子は叱られるようなことが大好きという前提の上で、叱ったこと全部が伝わるとは思わずに、10回叱りたいと思ったうち、実際に叱るのは半分の6回くらいに抑え、さらにそのうちの半分の3回くらい伝わればいい、というくらいに思っていた方がいいでしょう。10回中3回でも伝われば十分。そのくらい柔軟さの中で息子を認め、育てることも大事であるはずです。
日々、男の子の子育てに奮闘中のお母さんは、子どもと接する時間も長いだけに、息子の謎の行動に「なぜ?」と不可解に思うことも、叱っても言うことを聞かないということも多く、ストレスを溜めしまうこともあるでしょう。
そんな時、本書を読むと、男の子はこういう生き物なんだ……と安心できるはず。そういうものかと、何もかも完璧にやらなくてもいいと思えます。本書は男の子を育てているお母さんの味方になる一冊です。
(新刊JP編集部)
(*1)著者の小崎恭弘さんの「崎」は正しくは「大」ではなく「立」の下に「可」。
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