「テキサス親父」と呼ばれている人物を知っているだろうか。アメリカの通信会社で30年間働き、定年退職後は動画サイトでの評論活動を行っているのが、「テキサス親父」ことアメリカ人のトニー・マラーノ氏だ。シー・シェパード問題についての動画をYouTubeでアップしたことをきっかけに、日本に興味を持ったトニー・マラーノ氏は、アメリカ保守主義者の立場からアジアの政治問題などにも言及し、その論説が話題となっているのだ。
『テキサス親父の熱血講座 日本は世界一だ!宣言』(テキサス親父/著、扶桑社/刊)では、「対世界」を軸に独自の日本論を展開し、「日本ははたして平和ボケしているのか?」「日本はガラパゴスなのか?」などのテーマをQ&A方式で紹介する一冊だ。
トニー・マラーノ氏は、日本のどんなところがすごいと感じているのか。ここではいくつかのQ&Aを挙げていく。
Q、日本のインフラや治安の在り方について、どう感じましたか?
A、ありえないよ!もちろん良い意味でな!
日本の鉄道網は非常によく整備されている。新幹線の外装もすごくきれいで、垢だらけのフランスのTGVとは大違いだったという。日本は国中どこに行っても自転車があるが、駅の駐輪場で後ろをパチッと止めて置くだけでOK。一方、アメリカではチェーンでフェンスか何かにくくりつけておかないと、駐輪場でも盗まれてしまう。タイヤがなくなることもしょっちゅうらしい。
たしかに海外旅行に出かけると、国や地域によっては、日本のように電車やバスが時間通りに来るとは限らない。夜は出歩かないようにしたり、置き引きやひったくりに注意しなければいけないことも多い。海外に比べて、治安がいいことは日本の誇れるところのひとつなのだろう。
Q、テキサス親父はクリスチャンですが、日本人の宗教観についてどう思いますか?
A、信仰の自由があって、なおかつほかの宗教にも寛容なのは素晴らしい。アメリカじゃ考えられないよ!
最近のアメリカでは、キリスト教徒の宗派間で起きている人口中絶や同性愛者容認問題などの葛藤が、そのまま政治に影響している。「宗教の自由」から「宗教からの自由」だとして無宗教の人も増えているため、クリスチャンであることを公にせず、己の宗教色を封印したほうがベターだという風潮になっている。
ところが日本では、誰が何を信仰しようと咎められることは少なく、他の宗教を尊重したうえで、自分たちの宗教も卑下しない。これは立派なことだという。トニー・マラーノ氏は「俺は日本に来るたび、アメリカの息苦しい宗教観から解放されるんだよ」と語っている。
時間ちょうどに来る電車。駅前の駐輪場に自転車を止めて備え付けの鍵を掛ける。宗教に寛容であること。こういった日本では当たり前のことが、海外では決してそうではない。
日本での社会問題、政治など、いろいろ不満に思うこともあるかもしれないが、日本人には気づかない、気づけない、日本の良さは多いのかもしれない。日本が誇れることやアジアの政治問題など、アメリカ保守主義であるテキサス親父の論説は、改めて、日本人、日本という国を客観的に見ることができる。普段見ている視点とは違った角度からの新たな発見があるはずだ。
(新刊JP編集部)
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