テレビや雑誌などで、芸能人や著名人が「夢を持とう」を呼びかけているのを見たことがあるという人は多いはず。
基本的に、私たちの社会では何か大きなものに向かって努力することはいいことだとされています。しかし、子どもならともかく、自分の能力や才能の程度がわかってしまっている大人は、「夢はでっかく!」「目標は大きいほどいい」と言われても白けてしまい、「どうせ自分には無理」とかえってやる気をなくしがち。
特別な才能も能力もない「普通の大人」はどのように夢や目標を持てばいいのでしょうか。
今回は『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』の著者、横須賀輝尚さんにその秘訣を伺いました。その後編をお届けします。
―自分に合った「成功の定義」を見つけるためのポイントはありますか?
横須賀:この本では「経済的要素」「人間関係的要素」「社会実現的要素」「享楽的要素」の4つに分けて説明しています。この4つの要素について、自分の感情に素直に考えてみると自分の成功の定義が見えてくるはずです。
―横須賀さんは成功をどのように定義されていましたか?
横須賀:最初はとにかく行政書士として食べていけるようになることでしたね。
月に30万円っていうのが「経済的要素」での成功の定義でした。それだけあれば家賃を払ってそれなりの食生活ができて、ということです。それができたら月100万円を目指そうというのは考えていました。だから、行政書士の仕事だけでなく何でもやっていましたね。LANの設定とかニュースレターの代筆までやっていましたから(笑)。
―「人間関係的要素」での成功についてはいかがですか?
横須賀:本を出している方々と一緒に仕事をしたいなと思っていましたね。特に石原明さんですとか木戸一敏さん、藤井孝一さんといった方々の本を読んで感銘を受けたので、そういう人たちと仕事がしたかった。
みなさん、今は私が主催するセミナーで講師をやっていただいているんですけど、当時は憧れで、手が届く方々だとは思っていませんでした。
―また、本書の大きなテーマとなっているのが「誇りを持てる仕事で成功すること」です。このためにどんなことが大切になるのでしょうか。
横須賀:職業に貴賤なしというのは本当で、仕事の内容がどうとかではなくて、本人がどう思ってその仕事をしているかということだけなんですよ。
たとえば、将来自分の子供や孫が自分の仕事についてどう話すか。その内容を聞いて抵抗がないか、ということは考えてみるべきだと思います。
―それはまちがいありませんね。
横須賀:自分の話なのですが、アフィリエイトとか情報起業って今もありますよね。あの手のビジネスって2003年から2004年あたりがピークだったんですよ。月に1000万稼いだと言う人がたくさんいたりして。
当時、私はお金がなかったものですから、そういうビジネスで稼いでいる人の話を聞いて「いいなあ」とは思いつつ、どうしてもやってみるところに踏み切れませんでした。お金がないんだからやればいいのに、どうしてもできなかったんです。
どこかで「この仕事で儲けていいのかな?両親には言えないな」という思いがあったからなんでしょうね。家族に話して恥ずかしくない仕事がしたいというところだけはどうしても譲れませんでした。
―誇りを持てる仕事を手に、人生を逆転する方法の一つとして、横須賀さんは「資格取得」を挙げられています。これから取っておくと便利な資格がありましたら教えていただければと思います。
横須賀:一概には言えないのですが、社労士はいいと思いますね。理由は簡単で、企業や組織の中での「人の問題」というのはこれからも増え続けるからです。
給料が右肩上がりに伸びていかない時期にどんなことが起きるかというと、みんな目が中に向くんですよ。そうすると組織内での人間関係がどうこうということが増えてくる。
そういうことで社労士を挙げましたが、基本的には「どの資格がいい」ということは言えません。どんな資格であれ、それだけで食べていける時代ではないですから。
資格はあくまで入口であって、生き残るのはその資格にプラスして何かができる人です。
自分の実感としても、10年前に1000万円稼げたくらいの仕事量で、今は700万円くらいしか稼げませんね。それくらい資格を持っていること自体の価値は下がっています。
資格を取ってから食べていくまでのポイントは、私の他の著書で詳しく書いているものがありますので、参考にしていただきたいです。
―とりあえず資格を取ったものの、その後のことは何も考えていなかった、というお話はよく聞きますね。
横須賀:そうですね。資格を取る理由って結構みんないい加減なんですよ。何となく独立したい、とか。
ただ、何かやりたいことがあって、そのために必要だから資格を取るというのが本来あるべき形だというのはもちろんなのですが、何も考えずにとりあえず資格を取ったからって、それが悪いわけではないんですよ。どうせ将来のことを何も考えていないのなら、ごちゃごちゃ言わずに資格くらい取ってしまえばいいわけで。そういう成功体験を一つ作るだけでも意味はありますからね。
―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。
横須賀:自分のことをダメな人間だと思っていても、大丈夫ですよということは言いたいです。たとえ今ダメだったとしても、これから変えられます。だから、ダメなところではなくいいところやできることに目を向けていってほしいですね。
私も全然ダメで、学歴も普通で、実績もありませんでした。でも、ちゃんとした情報とちゃんとした人に出会うことができれば、人生逆転できるんです。この本を通じてそれを感じ取っていただけたら嬉しいですね。
(新刊JP編集部)
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