テレビや雑誌などに出てくる広告クリエイターやお笑い芸人などの発想力に思わず舌を巻いたことはありませんか。
「あっ、そういう考え方もありか」と思わせられるものから、「あっ、なるほどなあ」と納得するものまで、人間の発想力の広さには驚かされますが、ビジネスで成功を収めた人たちの中にも、発想の転換をきっかけにして飛躍したという例はたくさんあります。
これをビジネスでは「ラテラルシンキング」(水平思考)と呼ぶのですが、これは一朝一夕で身につくものではありません。要領をつかみ、発想力を鍛える必要があります。
木村尚義さんが執筆した『ずるさで勝る水平思考トレーニング』(SBクリエイティブ/刊)は54問のクイズを通して「ラテラルシンキング」のコツをつかむ新書判のトレーニングブック。
ここでさっそくクイズを出題します。あなたはすぐに解けるでしょうか?
◇ ◇ ◇
Q:あなたは出張先でお土産のみかんを1山買いました。家に着くと、ちょうど親戚の子も来ていて、オレンジを子どもたち3人に分けてあげようと考えました。数えてみると、全部で13個あります。ケンカにならないように、3人の子どもに13個のオレンジを公平に分けるにはどうしたらいいでしょう?
すぐに答えを見ずに、少し考えてみてください。
いかがでしょう? 解決策は思いつきましたか?
方法1:4個ずつ分けて、余った1個を3等分する。
この方法はだれでも思いつくでしょう。
方法2:はかりを使って同じ量ずつ分配する。
以上の2つの方法は、ロジカルシンキングの発想です。
方法3:ジュースにして分ける。
「加工してはいけません」という条件はどこにもありません。現物にこだわる必要はありません。ジュースにして分けるのも立派な解決策です。これなら公平と言えるでしょう。
◇ ◇ ◇
ラテラルシンキングにおいて、「正解」は1つではありません。
例えばサイコロが示す数字は1つだけではありません。サイコロには6つの面があり、視点を変えるとその面上の丸の数も変わります。他にも面積や重さ、体積などサイコロに関わる数字はたくさんあります。
なので、もし模範解答と同じでなかったとしても、その発想が正しいことはあります。なので、自分の出した答えにも自信を持ちましょう。
最後に、本書で取り上げているクイズをほんの少しご紹介しましょう。
問1:1963年、ホンダが大型バイクをアメリカで売り出しました。ところが、実際には大型バイクよりも先に、スーパーカブが米国市場の半数近くを占めるまでになったのです。いったいどうやって売りだしたのでしょうか。(書籍p85)
ヒント:まったく販促資金を投じていませんでした。
問2:ある料理店では、100%注文されるメニューがあります。いったいそれは何でしょうか。(書籍p101)
ヒント:壁にもメニューの類は貼ってありません。
問3:ある国では、インターネットの回線が遅く、1時間に1メガバイトのデータしか送ることしかできません。カメラマンのあなたは、4ギガバイトのデータを朝刊の掲載に間に合う10時間後まで届ける必要あるのですが、このままでは不可能。80キロ離れた目的地も、道なき道を歩くことになるので2日以上かかります。しかし、それでもあなたはデータを朝刊に間に合わせることができました。いったいどうやってデータを送ったのでしょうか?(書籍p113)
ヒント:衛星通信機器もありません
答えはわかりましたか?
ラテラルシンキングは「ずるい」思考法です。しかし、こうした物の見方がイノベーションを起こしていくのです。問題を解いていくことで、凝り固まった頭が柔らかくなっていくはずですよ。
(新刊JP編集部)
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