大人気エンターテインメントコンテンツのアトラクションやイベントを次々と繰り出し、大人も子どもも楽しめるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)。2014年には、映画『ハリー・ポッター』シリーズの世界を忠実に再現する 「The Wizarding World of Harry Potter」のオープンが控えている。
『USJのジェットコースターは なぜ後ろ向きに走ったのか?』(KADOKAWA/刊)はV字回復の立役者であるCMO(最高マーケティング責任者)の森岡毅さんが、3年間のUSJの軌跡と、来客数を増やすマーケティング手法を明かした一冊。今回は森岡さんにインタビューを行い、アイデアを生む秘訣などを聞いた。
今回は注目のインタビュー後編だ。
(新刊JP編集部)
■注目のUSJ新アトラクション、その全貌とは?
――テーマパークとしてディズニーランドと比較されることがよくあると思います。そのことについてはどうお考えですか?
森岡毅さん(以下敬称略):とても光栄です。 USJにとっても見習うべきことが多い素晴らしいパークで、大変レスペクトしています。 本書の中でも白状していますが、私も家内も実は大変なディズニーのファンです。 おそらく世界の消費者の中で最も東京ディズニーリゾートを深く理解している一人だと思います。 加えてマーケターとしての私は、彼らが彼らであるがゆえにできることも、できないこともよくわかるのです。 いずれにしても、3万円の川(交通費・宿泊費)のおかげで直接の激しい集客競合はない両パークですので、共存共栄が可能です。 それぞれがそれぞれの持ち味を活かして、日本国のためにもっともっと日本人を元気にできれば素晴らしいと思っています。
――森岡さんが人を評価するときに、どのような点を重視しますか?
森岡:「リーダーシップ」と「戦略的思考力」の2つです。 私はP&Gではヘアケアのビジネスを伸ばしなら、同時にP&Gマーケティング大学の校長を長くやっておりました。 なのでマーケティングの知識などは後からいくらでも身につけることができることを知っていますし、どう教えて身につけさせるかも知っています。 優秀なマーケターになるためにも、優秀な経営者を目指すにも、基本となる素養はその2つの能力だと考えています。
――本書を読んで、森岡さんに対して武闘派のイメージがついてしまったのですが、実際の森岡さんの性格を自己分析するとどのようになりますか?
森岡:戦略好きで、たぶん武闘派なんだと思います(笑)。 子供のときのあだなは「ブラック・ジャイアン」、大人になってからのあだなは「インテリ・マフィア」とか「ダース・ベーダー」だったりします。 本人としては、政治やお世辞は上手くないですが、ビジネスの結果だけにはこだわって生きてきました。 そもそも人に好かれようと思って働いていませんので、自分が正しいと思えることであれば喜んで「嫌われる」ことを厭いません。 ただ、「個」を越えて「公」の利害を優先して動くのがリーダーだと考えているので、部下や周囲に対しては「フェア」に接することを心がけています。 馬力をかけて働くスタイルではありますが、今のところはおかげ様で一度も直の部下を病気にしたことはありません。
――2014年後半にオープン予定の「The Wizarding World of Harry Potter」、これはどんなアトラクションなのですか?
森岡:世界最高のテーマパーク・エンターテイメントの結晶です。 私は2010年6月に米国オーランドに建ったこのプロトタイプ(試作モデル)を初めて見て、何としてもこの素晴らしいテーマパークを日本の皆様に見せたい!!と決意したのです。 待ちきれない方々のために本書の中にかなり突っ込んだ記述で様々な見所やお宝情報を紹介しています。
――今後、USJで仕掛けていきたいことがあれば教えて下さい。
森岡:ハリー・ポッターの後にも、世界最高のエンターテイメントを続々と計画しています。 また大阪のUSJだけでなく、エンターテイメント会社として成長するための大きなバットを振っていきたいです。
――本書をどのような人に読んで欲しいとお考えですか?
森岡:こんな方々でしょうか。
・革新的なアイデアを生み出せるようになりたいと思う人。
・価格を下げることでしか売上を維持できないことに悩んでいる人。
・仕事への向き合い方にマンネリ感を感じている人
・ハリー・ポッターが好きな人
・テーマパークに興味がある人(USJのファンはもちろんです)。
――このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。
森岡:この本は、昨年10月半ばから11月の6週間の間に、私の全てのプライベートの時間を費やして、一言一句の全てを1人で書き上げました。 書くプロではない私ですので、オシャレで軽妙には書けていないかもしれません。 しかし私が自分の思考を他人の脳を介さずに書いていますので、その内容、私が書きたかった情熱やメッセージは、よりダイレクトに読者の皆様に届くはずだと信じております。 読み終わったときに、アイデアの神様を呼ぶ方法が、読者の皆さまのその後のプロ人生にポジティブな変化を起こすことを願っています。 読み終わったときに、USJやテーマパークが読者の皆様にとってより身近で楽しい存在になることを願っています。
(了)
【関連記事】
・
USJの快進撃を生んだ“アイデア発想術”とは?(インタビュー前編)・
USJ快進撃の裏に「モンハン」400時間?・
今、ディズニーランドで一番人気の仕事とは?・
商魂たくましいメジャーリーグ名門球団注目のUSJ新アトラクション、その全貌とは?