「メンタリズム」という言葉をよく聞くようになったのはメンタリストDaiGo氏の活躍が大きいだろう。彼のプロデュースを手がけた人物がいる。村山淳氏だ。
そして、まだ「メンタリズム」の存在を知られていない2004年頃に村山氏と出会い、メンタリズムの研究を始めたKOU氏は、スプーン曲げなどのメタルベンティングやサイコメトリーといった超能力でしかありえないような現象を科学的に再現してみせる新たな形のパフォーミング・アーティストだ。
『【DVD-BOOK】メンタリズム フォーク・スプーン曲げ 曲げ方完全解説』(扶桑社/刊)はスプーンの曲げ方を教えるという教則DVD-BOOKだ。メンタリスト・サイコロジカルアーティストであるKOU氏とメンタリズム研究家スリーコール代表の村山氏の二人によるメンタリズム対談も掲載されている。
近年、爆発的にその名が知れ渡った「メンタリズム」だが、これは一体何なのだろうか?
「メンタリズム」というと心理学をイメージする人は多いかもしれないが、本来は心理学という意味ではない。哲学用語で「形而上」という意味で、「眼に見えないもの、形にならないもの」を表す言葉だ。要するに、“超能力や霊能力を表す総称のスラングの一形態”でしかないということだ。
つまり、「メンタリズム」とは非常に曖昧な言葉なのだ。
日本では「メンタリズム」は心理学と解釈されることが多いが、正確な訳語はない。海外では、メンタリストというと、心理学の理論も使うしトリックも使うパフォーマーのことを指す。デフォルトでマジックの技術を持っている人のことを指す。さらに、それを隠さない人が多い。捉える側の人のイメージに解釈を任せている部分が大きいのだ。
このように「それはメンタリズムで、そっちはただのメンタルマジックだ」という定義を言葉にするのは難しい。KOU氏は対談の中で、次のように語っている。
「たとえば、スキルとして数理使ったらメンタリズムじゃないってわけでもないし、マッスルリーディング使って思考を読むのは心理学とは無関係の部分もある。今回のフォーク曲げだって、その現象が起きるコトで心理効果が高まるからやっているわけで、じゃあその心理効果を起こすためにトリックを使うのはメンタリズムではない! と言えるメンタリストは一人もいないんじゃないかと思う。とはいえやっぱり僕は、人間本来が持つ力のみで現象を引き起こせるのが真のメンタリストだって気持ちがないわけじゃないんですけどね。だから、こんなに複雑なフォーク曲げも人間の身体とロジックだけで構成しているわけですから(笑)」(p21より)
本書を読み、DVDを見てスプーン曲げに挑戦してみるのも楽しいだろう。そして、あまりにもロジカルで、科学的なカラクリがあることに驚くのではないだろうか。
そして、宴席や友達とのコミュニケーションの1つとして、スプーン曲げを披露してみるのもいいかもしれない。
(新刊JP編集部)
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