「情けは人の為ならず」ということわざの意味は、「情けは人のためにならない(だから情けをかけてはいけない)」という意味ではなく、「情けを人にかけるとめぐりめぐって自分のところにやってくる」という、とてもポジティブな意味です。
しかし、「人に親切にすることの大事さ」や「親切にすれば、自分のためにもなる」ということを子どもに教えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
そんなときは絵本で読み聞かせてあげると、分かりやすくなるはず。
『こころを育てる七田(しちだ)式 えほんシリーズ ペガサスさんコース』(しちだ・教育研究所/刊)に収録されている6作品の一つに「にじいろのバトン」という物語があります。
小学校1年生のななちゃんは元気な女の子。朝、玄関で学校に行く準備をしていると、お父さんの靴が汚れていることに気づきます。一生懸命磨くななちゃんにお父さんはお礼に、と虹色のバトンを渡します。
「このバトンはひとにしんせつにしてもらったら、おれいにわたすバトンなんだよ。つぎはあなたにいいことがありますようにってね。」
学校が終わり、雨が降って帰れずにいたななちゃん。そんなとき、友達のいくちゃんが「わたし、かさをもっているから、いっしょに、かえろうよ。」と誘います。ななちゃんはいくちゃんにお礼として、朝にお父さんからもらったバトンを渡します。
次の日、いくちゃんが歩いていると、おばあさんからきれいな花を受け取ります。いくちゃんはお礼にと、ななちゃんからもらった虹色のバトンをおばあさんに渡します。さらにおばあさんは、駅の階段で荷物を持ってくれた男の子に虹色のバトンを渡します。
小さな親切の連鎖によって、虹色のバトンは人から人へとつながれます。
日曜日、ななちゃんとお父さんが公園へ遊びに行くと、風船が木に引っ掛かって取れなくなったと男の子が泣いています。お父さんは木に登り、風船をとってあげました。すると、その男の子は「これをあげるよ!」と虹色のバトンを差し出したのです。
「にじいろのバトンがもどってきたね!」と喜ぶななちゃんに、お父さんは「ほらね。ひとにしんせつにすると、かならずじぶんにかえってくるんだよ。」とにっこり笑って言いました。
この「にじいろのバトン」はコーチングで有名な木下晴弘さんが書き、絵本作家の山本祐司さんがイラストを担当しています。
6つの物語がセットになった七田式の絵本セット『ペガサスさんコース』の特徴の一つはその部分で、木下さんだけでなく、ビジネス書や自己啓発書の作家をはじめ、エッセイスト、絵本ソムリエなど、執筆陣はバラエティ豊か。それぞれの物語には、子どもに伝えにくい「教訓」が理解できるように易しく織り交ぜられています。
親子のコミュニケーションに絵本がいいというのは、しちだ・教育研究所の七田厚さん。伝えにくいこと、教えにくいことでも、絵本なら一緒に楽しみながら学ぶことができます。もっと子どもとコミュニケーションを取りたい、子どもにもう少しちゃんとしてほしい…と思ったときは絵本を一緒に開いてみるといいかもしれませんよ。
(新刊JP編集部)
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