あなたは自分のやりたいことができているだろうか。また、自分の仕事がしっかりと評価されていると思うだろうか。
若手ビジネスパーソンの中には、そうは思えない人も多いだろう。
実は今、活躍して注目を集めているビジネスパーソンも、不遇の時代を送ってきた人が多い。ワーク・ライフバランスという新しい働き方の考え方を定着させるべく、国会でもプレゼンを行う“プレゼンの名手”小室淑恵さんもその一人である。
20代の頃、資生堂に勤めていた小室さんは“仕事も人間関係も上手くいかない”という壁にぶち当たった。その壁を超えるために編み出したのが新刊『小室淑恵の人生プレゼン術』(学研マーケティング/刊)で紹介している“人生プレゼン術”だ。
自分の仕事の強い動機となるテーマを見つけ、それを仕事で絡めてできるようにしたり、職場外でできるようにしたりするために周囲の人たちに自分の想いを発信していく――そうなるためには、“プレゼンスキル”が重要になってくる。本書はそのためのスキルを余すところなく教えてくれる一冊となっている。
新刊JPは著者の小室さんに、本書についてインタビューを敢行。“人生プレゼン術”の大切さについて語ってもらった。今回はその前編だ。
(新刊JP編集部)
■若手ビジネスパーソンが身につけるべき“人生プレゼン”とは?
―まず、本書の『小室淑恵の人生プレゼン術』のタイトルにある、“人生プレゼン術”とはどういうものか教えていただけますか?
「この本の前作にあたる『小室淑恵の即効プレゼン術』のほうに詳しく書いているのですが、私はプレゼンには2種類あると思っていて、まずその一つは組織の中で上から指示を受けてするプレゼンです。例えば、商品を説明する資料とか、販促のための企画とか」
―つまり、一般的な意味でのプレゼンですね。
「そうですね。ミッションとして与えられるものです。もう一つは、自ら能動的にするプレゼンです。人生をかけて取り組みたいテーマを見つけて、それを周囲の人にプレゼンして、自分の仕事と絡められるようにしたり、職場の外で実現するためのものです。後者を“人生プレゼン”と呼んでいます。
会社から降ってくる、仕事としてのプレゼンを上手くこなすためのスキルを身につけるだけでは、不十分ではないかということで、私が講師をしているプレゼン講座では、人生プレゼン術も教えています」
―この“人生プレゼン術”を資生堂に勤めていた20代の頃に会得したと本書でつづっていらっしゃいますが、どのようなきっかけでこのスキルを身につけたのですか?
「この本には、2人の若者が出てきて、私がその2人の悩みを聞きながら人生プレゼンのスキルを教えていく形でページが進んでいくのですが、実はこの2人は、私の若手時代を投影しているキャラクターなんです。なおかつ今、私の身近にいる若手ビジネスパーソンたちをモデルにしているんですね。
かつて私自身、頑張っているのに認められないと思ったり、どうして疎まれるんだろうと考えていた時期がありました。自分の想いを伝えられないもどかしさに悩んだりして。自分の言いたいことを何で分かってくれないことを、人のせいにしてしまっていたんですね」
―まさにそれは、ほとんどの若手ビジネスパーソンが経験することだと思います。上手くいかなくて、諦めが早くなってしまったりして。
「やさぐれてしまって、上の人たちの頭の固さを全ての原因にしちゃうんですよね。でも、結局相手は変えられないわけで、相手のせいにしても何も変わらないんです。相手のせいにしたままだと明日も明後日も同じ毎日の繰り返しですから、自分からポジティブに、周囲の人とWin-Winになるような発信の仕方をしていかないと上手くいきません。
今の自分の苦しみや悩みは全部自分に責任があると思うって、最初はすごくつらいと思います。自分を責めるわけですから。私は苦労して考え方や発信する方法を変えていったのですが、今の若い人たちにはもう少しスムーズに身につけてほしいと思って、このプレゼンスキルを提供しています」
―小室さんはワーク・ライフバランスという、新しい生活スタイルを提唱して、社会に根付かせてきました。これは本当にすごいことだと思うのですが、新しい概念を人々に伝える上で、人生プレゼンのスキルが役立った場面もあったのではないでしょうか。
「そうですね。この本で、ヒアリングの大切さを書いているのですが、私が挫けずにここまでやってこられたのは、ヒアリング、つまり人の話をじっくり的確に聞いたおかげだと思っています。
ワーク・ライフバランスを広めるときに、それを通して誰がどう幸せになるのかが具体的に見えてこないと、やりがいも薄くなってしまうんですね。私の場合、育児休暇から復帰できなかった女性の話や、うつで息子さんを亡くされた方など、育児や介護、メンタルなどの理由で会社からはじき出されてしまい、私生活の方まで上手くいかなくなった方々の話をずっと聞いていたんです。
みんな、仕事と家庭の両立ができなくて、苦しんでいる。そんな彼らの話をヒアリングしているうちに、もしワーク・ライフバランスが実現できなかったら、この人たちはずっとこのままなんだと思いました。彼らのためにも、私は目の前の壁を越えていかないといけない。もう後には引けなくなったんです。あの時に、ヒアリングをしていなかったら今の自分はないと思います。だから、周囲の子たちには気持ちが揺れたり、萎えてきたりしたらヒアリングに行けと伝えています」
(後編へ続く)
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