遺産相続といえば「もめる」というイメージを持っている人は多いでしょう。最初は家族内だけの話だったのか、いつの間にか親戚や謎の関係者も現れて泥沼の大騒動に発展…と考えてしまうのはドラマの見過ぎかもしれませんが、遺産相続でもめてしまう理由としてよくあげられるのが、遺言書がなかったということ。
遺言書とは自分の財産について、自分が死んだあとどう分けるのかを記したものですが、税理士の落合孝裕さんは「死を連想するという面もあるためか、わが国では、まだまだ活用される割合は低くなっています」といいます。
さて、そんな遺言書ですが、実はしっかりと形式が整っていれば、どんな風に書かれていても、それは有効となります。
では、ここでクイズです。以下の4つの項目を、“有効となる可能性のある”遺言書を○×で分けてみてください。
1、パソコンで書いて印刷をした
2、紙で書いて押印もしたが、実印ではなく認め印
3、チラシの裏に手書きで書いた
4、作成年月日が「○年○月吉日」になっている
分けることはできましたか?
さて、正解を説明していきましょう。まず。自筆証明遺言は、以下の3つの条件が揃わなければ有効とされません。
(A)自分(自筆)で書いていること
(B)作成年月日の記載があること
(C)押印してあること
この3つの条件に照らし合わせていくと、「1、パソコンで書いて印刷した」は、「(A)自分で書いていること」に当てはまらないためNGとなります。
続いて、「2、紙で書いて押印もしたが、実印ではなく認め印」については、実印ではなくて認め印も有効になるためOK。
「3、チラシの裏に手書きで書いた」は、遺言書はちゃんとした紙でなければいけない…というイメージがありますが、実は上記の3つの条件が揃っていれば、用紙は何でもかまいません。この場合、作成年月日と押印がちゃんとあれば、チラシの裏でもOK。
最後に「4、作成年月日が『○年○月吉日』になっている」はNG。なぜなら吉日は日付を限定しないからです。
こうして見てみると、遺言書はそこまで敷居が高いものではないことが分かりますね。
落合さんの新刊『相続と節税のキモが2時間でわかる本』(日本実業出版社/刊)では、平成27年に大増税される相続税の仕組みや、節税方法が分かりやすいストーリー形式で説明されています。
その中ではこの記事で紹介した遺言書の書き方や、どこまでが遺産相続の対象になるのかも解説されているので、今読んでも相続のことについて深く知ることができるはずです。
(新刊JP編集部)
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