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経理や事務まで、日本人の仕事が外国人に奪われる!

 著書『クビでも年収1億円』(角川フォレスタ/刊)がベストセラーとなり、最新刊『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』(幻冬舎/刊)も話題を呼んでいる小玉歩さんが、ゲストと「働き方」をテーマにトークを繰り広げる対談特集。第二回のゲストは山崎拓己さんです。
 起業するにあたって大学を辞めた山崎さんですが、その時“初めて社会に反した”という喜びがあったそう。社会のレールに乗る安心感と、外れることの快感をともども経験してきた山崎さんの仕事論に小玉さんが迫ります。
 今回は前編をお送りします。

■1日2時間以上メールに費やすサラリーマン
山崎「いきなりですけど、何でメールを返信しないんですか?」

小玉「今は、メール以外にもフェイスブックやツイッター、ラインなどもあって、コミュニケーションの量が増えすぎてしまったと思うんです。そういう時代に生きていると“別にそれをメールで送る必要はないんじゃないか”ということでもいちいちメールで返す傾向があるので、電話でいいじゃないか、ということですね」

山崎「電話のほうが時間を取られそうな気もしますね」

小玉「まあ、そうなんですけど(笑)」

山崎「でも、これは僕にとって衝撃的な出会いかもしれない」

小玉「山崎さんの本を読ませていただきましたが、コミュニュケーションをかなり重要視されているように思えました。それだけに僕の本には相容れない部分があるのかもしれません。ただ、毎日大量に届くメールを返しきれなくて悩んでいる人は多いんです」

山崎「サラリーマンが一日8時間会社にいるとして、そのうちの2時間半くらいはメールチェックと返信にかかってしまうみたいですね」

小玉「それぐらいかかっていると思います。メールだけではなく、上司の説教がセットになっている飲み会のような、嫌だと思っていることにかなり時間を奪われることが非常に多いんです。
そういうところで我慢をする必要はないですし、嫌なら嫌と本音を出して生きていれば、自分の周りに集まってくるのは気の合う人だけになりますから、最高の人生が送れるのではないかということを、この本では書いています。
特に、日本人は本音と建前を使い分けるところがあるじゃないですか」

山崎「そうですね」

小玉「建前だとか社交辞令を使って生きていると、この人に好かれたいなという時に“いい人”を演じるようになります。それでもし親しくなれたとしても、それは“いい人”を演じている自分と親しくなってくれたわけで、本来の自分と付き合っているわけではありません。それって悲しいことだと思うんです。
今は職場うつの人が増えていますが、彼らの傾向は、自分の居場所が会社にしかないことです。職場の人間関係が全てなので、壊さないようにとても大事にする。
だけど、会社以外にも気の合う仲間がいれば、会社の人間関係を必要以上に大事にする必要もないと思います」

山崎「とてもよく分かります。特に、男の人はコミュニュケーションが職場だけで終わってしまうケースが多いです」

小玉「そういうこともあって、この対談では“働き方”をテーマにしているんです」

山崎「インターネットができたことで大幅に変わりましたね。
これまでの常識ではできないはずのものが、テクノロジーの発達でどんどんできるようになっている時代ですから、常識を外しておかないともったいない。
たとえば、インターネットが普及する前に経理のOLが10人でやっていた仕事を、今は1人でできますからね」

小玉「そうなると、組織の形や働き方が変わってくるでしょうね」

山崎「しかも、アウトソーシングすることもできるわけだから、もしかしたらこれからはクリエイティブだけに頭を使う時代が来るかもしれない」

小玉「その通りだと思います。例えば、コンピューター・プログラムの言語は世界共通ですよね。アメリカで年収1500万円くらい取っているプログラマーと同じ能力の人を、インドなら年収300万円くらいで雇えます。
こういうことってその人じゃないといけないということはなくて、効率よく仕上げてくれれば誰でもいいわけじゃないですか。そうすると、賃金の安い途上国の人に、どんどん仕事が取られてしまう。それこそ、高給を取れる仕事はクリエイティブの部分にしか残らなくなるかもしれません」

山崎「日本は、日本語というある意味特殊な言語に仕事が守られている部分があったと思うんですけど、先日、中国の大連に行ったら日本の大企業の経理とか事務方の仕事をやっているという人がたくさんいました。旧満州ですから日本語を話せる人が多いんです。そうやって、どんどんボーダーレスになっている」

小玉「日本国内だけで物事を考えていたらヤバいという時代がとうとうやって来た」

山崎「思ったより早くその時が来たと思いますね。働き方とか仕事のお話に戻ると、世の中にどんな仕事があるかわからないうちから会社に入って、自分の業務に特化していくというのはリスクがある気がします。
業種・職種を含めて様々なタイプの人に会うというのはすごく大事なことです。そして、会ったら深く掘り下げて話を聞いた方がいい。“何のお仕事をしているんですか?”“出版関係です”“そうなんですね”で終わってしまってはもったいない。
例えば建築にしても、いろいろな工程があるわけで、人によってやっている仕事が違います。そういうことをいろいろな人に聞いているうちに、自分のワークスタイルが見えてくるはずですし、“こういう仕事があるっていうことは、こういう仕事もあるよな”というように、世の中のことも見えてくるはずです。
そういうことをやっていないと、知らないものだから“世の中は怖い”となってしまう。
知らない場所に行く時って、行きは遠くて帰りはやたら早く感じるじゃないですか」

小玉「早いですね。あれは何なんですかね」

山崎「でも、実際にかかっている時間は一緒ですよね。未知とか無知っていうのは恐怖感を伴うので長く感じるということだと思うんですけど。帰りは一度見て知っている場所を通るので、脳が“お休みモード”に入って早く感じる」

小玉「わからない場所を走っている時は、時間も長く感じるし、疲れます」

山崎「脳は現状維持が好きですからね。だから、気持ちの赴くまま生きていると、現状維持になってしまう。
自分を変えたいと思っている人は多いと思いますけど、多くの人は結局現状維持を選んでしまう」

小玉「変わろうと思ったその時は一大決心をするんですけどね」

山崎「変りたいけど変われない理由は、自分が持っている条件を見て選択をするからです。でも、今自分が持っている条件っていうのは今の状態をキープしていくためのものであって、それらを踏まえたうえで行動しても、あまり変わりません。
だから、僕は自分を変えるためには、あえてバランスを崩すのがいいと思います。バランスを崩してよろけると、意外な一歩が出る。そこに発見があり、新しい条件が手に入るんです。

小玉「山崎さんは大学を辞めてビジネスを起こされたということですけど、それが山崎さんにとっての“意外な一歩”だったのかもしれませんね。
自分の話でいうと、会社を辞めて独立する時はすごく勇気が必要だったんですけど、学生ってサラリーマン以上に、いわゆる“レール”に乗っているわけじゃないですか。そこから外れるっていうのはさらに勇気がいるのではないかと思うのですが、葛藤はありませんでしたか?」

山崎「社会に対して不満があるのに、“社会のレールに乗っている方が安全だから”といって生きている自分に、実は腹が立っていたんです。だから、大学を辞めた時は、初めて社会に反したという喜びがあった。
大学って、入る時はすごくたくさん書類を書くのに、辞める時は一筆書くだけですごく簡単なんですよ。“これで終わり?”と思ったのを覚えています。
それで学生会館から出てくると、空が真っ青だった。その時に“将来もし本を書くことがあったら、プロフィールに広島大学教育学部中退と書いてやる”と自分に約束したんです。その後、実際に本を出すことになって、今でもそれを書き続けています」
(後編につづく)

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