ここ数年で、自分の買い物が変わったと感じている人は多いだろう。
ネットから割引クーポンを入手して実店舗で使ったり、実店舗で買い物をしたことで貯まったポイントをネットショッピングで使ったりと、消費活動において、ネットとリアルの壁はどんどん薄くなっている。
この状況をもたらしたのは、言うまでもなくスマートフォンの普及だ。
情報端末としての機能に加えて、それ自体で決済ができるため、ネットとリアルを自由に行き来する消費活動が可能になった。
この変化はどこに向かうのか、またこのような時期に消費者はどのように買い物をすべきなのか。
『ネットからリアルへ O2Oの衝撃 決済、マーケティング、消費行動……すべてが変わる!』(阪急コミュニケーションズ/刊)の著者、岩田昭男さんにお話を聞いた。今回はその後編をお送りする。
―今お話を聞いて思ったのは、各社ともやっていることは似通っていて、ネットで掴んだ顧客のリアルでの消費をいかに取り込むかということであり、具体的には決済周りの強化とポイントの充実です。これだと他社との差別化が難しくなってしまうのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
岩田「最初に申し上げたように、現時点では、O2Oで目立っている企業というのは5000万人以上の会員を持つネットショッピングの会社です。
楽天、アマゾン、ヤフーはいうまでもなく、リクルートも3月にネットショッピングのサイトを立ち上げましたし、ドコモもやっています。
彼らは多くの会員を持っているということで今のところ先行しているわけですけども、今の状況がこのまま続くとは考えられません。
次の手を必ず打ってくるでしょうし、彼らのような大手が一巡した次に出てくるのは何かということです。
スマートフォンによってリアルに出られるようになったのは大手だけではありません。小さなサイトもどんどんリアルに出てくるでしょう。個人的には小規模だけども専門的なサイトなどもO2Oにフィットすると思っています」
―このような時代に賢い消費者であるためには、どのようなことが必要になりますか?
岩田「O2O時代の消費は、クレジットカードと電子マネーとスマートフォンのアプリの3点セットを上手に使い分けることがポイントになります。この3つを自分のライフスタイルに合わせて柔軟に使い分けることが大事ですね。
たとえば、通勤でスイカを使っている人は多いと思いますけど、クレジットカードはビューカードを持っておくと、チャージするたびにポイントが貯まっていき、そのポイントをまたスイカにチャージできます。無駄がないですし、得ですよね」
―本書の読者として、どのような方を想定されていましたか?企業のマーケティングに関わる人にとっては重要な内容ですし、決済と集客の変化というのは消費者としても知っておきたいところです。
岩田「まずは、企業の経営者や管理者ですね。自分たちもO2Oを取り入れて、やっていきたいと思っている人。あとは、やはりマーケティングに関わる人には読んでいただきたいです。大企業だけでなく、中小企業もこれからどんどん参入するでしょうし、O2Oについて、今どんなことが起こっているか把握しておくべきだと思います」
―最後になりますけども、今おっしゃった読者の方々に、一言メッセージをいただければと思います。
岩田「O2Oと聞くと、何か新しいことが起こっていると思いこんでいる人がいますけど、そういうわけではなく、2000年頃に起きたIT革命の延長であり進化版です。
取り組んでいるのがネット企業である以上、決済はクレジットカードということになりますから、今の時点ではO2Oの肝はクレジットカードであり、それに付随するポイントだといえます。
この本を読めばそういった、O2Oのツボが押さえられると思いますので、ぜひ読んでいただいて、ビジネスに役立てていただきたいと思います」
(新刊JP編集部)
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