今、注目を浴びているのが「O2O」(オンライン・ツー・オフライン)という新しいマーケティング手法。言葉だけなら聞いたことがあるという人もいるだろう。しかし、まだこのマーケティング手法を説明している書籍は少なく、どの本を選べばいいのか分からないという人も多いはず。
株式会社パルディア代表取締役社長の中沢敦さんが執筆した『なぜ小さなコスメ店が大型ドラッグストアに逆襲できたのか?』(中経出版/刊)は、糸川市という架空の地方都市のシャッター商店街にあるコスメ店を経営することになった若い女性(有村小雪)が、郊外にできた大型ショッピングモールのドラッグストアに戦いを挑んでいくというビジネス小説。その中でO2Oを駆使した店頭プロモーションが展開されており、非常に分かりやすく、マーケティングの先端が理解できる内容となっている。
今回は、著者でこの物語の中にもアドバイザー的立ち位置で登場する中沢さんに、本の話からマーケティングの最先端までお話をうかがってきた。3回にわたるロングインタビュー、最終回をお送りする。
(新刊JP編集部)
■ LINEの次は何がくる? プロモーションの仕事でうまくいかないときは…?
―今は「LINE」がものすごい勢いで伸びていますが、「LINE」の次にくるものって予想できていますか?
「それは分からないですね。LINEも震災後に公開されたものですが、震災の頃にこのようなサービスが登場するのを誰か予想できたというと、できた人はいないと思います。
今後、スマートフォンレベルでいえばLINEほどインパクトのあるコミュニケーションツールは出てこないと思いますね。ただ、グーグルグラスのようなウエアラブル端末が出てくると、新しいツールが出てくる可能性があります。コミュニケーションのデバイスが変わると、手法も変わりますから」
―でも、こうして新しい手法が次々と登場するプロモーションの業界はすごく大変だと思いますが、この小雪は物語の中で打ちひしがれながらも、いろいろなことを学んで成長していきますよね。仕事をする上で、うまくいかないことも多いと思いますが、中沢さん自身はうまく事が運ばないときはどう考えるようにしていますか?
「僕らもライバル企業と競って、プレゼンテーションで負けてしまうときがあります。また、期待を込めて出したものがうまくいかなかったり、予想と違う結果になったりすることもありますが、僕個人、そういうときには、神様が与えてくれた試練であり、これが次への飛躍になるんだと思うようにしています。上手くいくために考え抜いたり、経験したという事実は残るので、次の飛躍にどう結び付けるかということを大事にしていますね」
―そういう点で、この本にはもう一つ読み方があるように思います。つまり、若手のビジネスパーソンがどう成長していくのか、というところです。
「そうですね。この物語の中でも、小雪はたくさん失敗していますけど、結局それが経験として積み重なって、成長していくんですよね。自分から考えたり、与えてもらったチャンスを生かして、自分の力量よりも少し上のことをチャレンジすると、成長の角度は高くなるはずです」
―では、中沢さんがお勧めする本書の読みどころを教えて下さい。
「そうですね…。本の最後の部分かな。こういう展開になるんだ、と思うはずです。あまりにも勿体ないので、2冊に分けて本を発売しようと思っていたくらいです(笑)まずはストーリーとして楽しんで欲しいですね」
―本書をどんな人に読んで欲しいですか?
「もちろん、地方の小売店の方には読んで欲しいですが、逆に大手の小売店のプロモーションを手伝っている方や、O2Oをはじめとした新しいマーケティングの概要を知りたい人、勉強したい人にも読んで欲しいです。かなり分かりやすく説明しているつもりです」
―最後に、このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。
「僕自身、本はよく買うのですが、そのうち全部読み切れない本って3割くらいあるんですよね。それはいろいろな理由があるのですが、せっかく買ったのに全部読まないって残念じゃないですか。この本は2時間で読めて、なおかつちゃんと知識を仕入れられるように書いていますし、新しいマーケティングについても網羅しているので、是非、気軽に手にとって読んで欲しいなと思います」
(了)
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