会社にとって、自社の製品やサービスを売る営業マンはとても大事な存在です。
だからこそ、企業側は優秀な営業マンをそろえれば売り上げは上がるはず、と考えがちですが、『営業7つの勘違い』(エベイユ/刊)で売れる仕組みプロデューサーの工藤龍矢さんによると、実はこれは間違い。
この他にも、工藤さんは本書の中で「ノルマを与え、その達成度で評価する」「活動量を重視する」など、現状正しいとされている営業戦略や営業スタイルの中に潜む間違いを指摘しています。
■「ノルマを与えて結果で評価する」は間違い
営業マン個人やチームに対してノルマを与えて、その成果によって評価するという手法は営業においてよく使われます。
その例として最も有名なのがフルコミッション(完全歩合制)ですが、工藤さんによると、実は成功している会社のほとんどはこの方法を採用していないといいます。
営業出身で実績のある経営者ほど、営業マンをやる気にさせる方法として「ニンジンをぶらさげて走らせる」という発想になりがちです。フルコミッションはその代表だといえますが、手柄の取り合いになる、営業マン同士が情報共有をしなくなるなど弊害もあります。
そして、このやり方は特に若い営業マンにとって過大なストレスを約束するに等しく、敬遠されてしまうのです。
■営業は活動量が大事
訪問先やアポイントをとにかく数多くこなすというスタイルは、営業において一種のセオリーだといえます。このやり方は確かに成果を残せることも多いですが、欠点もあります。
それは、結果を出せる期間が長続きしないこと。一時的には成果を出すことができますが、このやり方は全力疾走を一年中続けなさいというのと同じであり、営業マンが疲弊しやすく、離職率も上がる可能性があります。
士気が下がった時のカンフル剤として、「○○件訪問する」という目標を設定するのはいいですが、長期的に見るとあまりいい方法ではなく、営業部全体で「売れる仕組み」を考える方が効率的だと、工藤さんは指摘しています。
■優秀な営業マンをそろえても…
冒頭で紹介したように、「優秀な営業マンをそろえれば売り上げは上がるはず」というのも営業戦略としては間違いです。
この考え方では、売上を営業マン個人の資質に頼ることになります。もし彼らが会社を辞めてしまうと劇的に業績が落ちたり、最悪の場合は顧客まで持っていかれてしまう可能性があり、リスクが高いのです。
個人の資質に頼る営業戦略ではなく、むしろそれを排して誰でも一定の成績を残せる戦略を立てることが、成功する会社の条件だといえます。
本書で、工藤さんはこのような、「営業でされがちな勘違い」を取り上げながら、各営業マンに無理をさせず売上を伸ばす仕組みづくりの秘訣をつづっています。
営業マンを束ねる立場の人はもちろん、いちプレイヤーの立場である人にとっても、自分の営業スタイルを見直すきっかけになるはずです。
(新刊JP編集部)
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