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「二代目 聞き書き~中村吉右衛門」小玉祥子著

  役者はどのようにして役者になるのか。人はどのようにして「人間国宝」に至るものなのか。その答えともいうべき、1人の歌舞伎役者の生々しい半生がここにある。
 冒頭の一行が<宿命の子>。読むにつれ梨園(りえん)のサラブレッドというイメージが覆り、生まれる前から祖父である初代・中村吉右衛門の名跡を継ぐ定めとなっていた人生とは、こうまで厳しかったのかと驚かされる。いっときは自死すら考えたという告白に、壮絶な舞台裏がいかに表舞台を輝かせたかにも思いが及ぶ。同時にそれは、誰にとっても実人生の真理にほかならないと気づかされるのは、ストイックなまでの自己観察ゆえに相違ない。
 聞き手の小玉祥子氏は、新聞社で長年演劇記者を務める。無口で知られる”天性の役者”の胸襟を、ここまで開かせた信頼関係も、本書のすがすがしい読後感の一因だ。数十年にわたる長い年月の結晶ともいうべき一冊。 

書名:二代目 聞き書き~中村吉右衛門著者:小玉祥子発行:朝日新聞出版定価:840円+税

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