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『「地球の歴史」上中下』鎌田浩毅著

  20世紀を代表する歴史家トインビーは「不完全であるリスクは冒しても、通史は一人で書かれるべきである」と言っている。だが、46億年にわたる地球の歴史となると簡単ではない。今回、版元の創業130周年記念出版として、企画から8年越し、全3巻の地球の通史が実現したという。
 本書で扱う分野は幅広い。高校の科目で言えば著者の専門の地学だけでなく、物理、化学、生物、数学にまで及ぶ。だが、「文系の読者も苦労なく読み通せるように」との注文に応えて執筆したというだけあって、文系の評者でも無理なく読み進めることができた。
 温暖化が問題とされるが地球史的に見れば現代は氷河期に向かっている、阿蘇山の大噴火で火砕流が九州半分を覆った例がある、といった教えられる知見は数多い。日本列島は1000年ぶりに大地変動の時代に入ったとされるだけに、知っておきたい基礎知識が満載だ。 

書名:「地球の歴史」上中下著者:鎌田浩毅発行:中公新書定価:上下880円+税、中840円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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