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「脳が壊れた」鈴木大介著

  内容は深刻なのに、こんなに笑える闘病記を初めて読んだ。著者は家出少女や詐欺集団など、社会からこぼれ落ちた人々に寄り添い取材を重ねてきたルポライター。41歳のある日、脳梗塞に襲われる。運良く一命を取り留めたものの、高次脳機能障害が残り、他人からは理解しがたい障害=「怪現象」に次々見舞われる。
 トイレの個室に突然老紳士が現れ、握った手を開こうとすると尿が漏れそうになり、見舞客の目を見ただけで号泣。いったいその時、脳では何が起こっているのか? 持ち前の記者魂を発揮し、自分で自分に取材を重ね、身体と精神の変化を面白おかしく描き出していく著者。そのしんどさ、生きづらさが、著者がこれまで『最貧困女子』などで描いてきたドロップアウト寸前の人間たちと重なり、共鳴していく。
 リハビリと闘病を通して、自分の人生改革に着手する後半の展開は感動的だ。 

書名:脳が壊れた著者:鈴木大介
発行:新潮新書定価:760円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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