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「辛夷(こぶし)の花」葉室麟著

  「抜かずの半五郎」と揶揄(やゆ)される小暮半五郎は、凄腕の剣の達人ながら、やむを得ず農民を斬り殺してしまったことを悔い、太刀を固くひもで結び、決して抜けないようにしている。
 その半五郎が、小竹藩6万石の勘定奉行を務める澤井家の隣に越してきた。同家には、婚家から離縁されてきた志桜里(しおり)がおり、2人は次第に心を通わせてゆくが、一線を越えようとはしない。
 実は半五郎が澤井家の隣に越してきたのには「重大な密命」があった。藩内では、強い権力を握っている家老らによって藩主を隠居させる動きが進み、“藩主派”である勘定奉行の澤井も命を狙われていた。同家を守るのが半五郎に課せられた役目だったのだが…。
 互いに「自らの心のままに生きたい」と願いながらも、武士の本分を貫く男と、「お家第一」という武家の娘としての責務を全うしようとする女。2人の関係がもどかしく、切ない。直木賞作家による時代小説の秀作。
 

書名:辛夷(こぶし)の花著者:葉室麟発行:徳間書店定価:1700円+税

夕刊フジ

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