本を知る。本で知る。

「日本を愛した植民地」荒井利子著

  今春、天皇陛下が訪問されたことで脚光を浴びたパラオは、戦前、日本の植民地(正確には委任統治領)だった。当然、戦時には米軍の攻撃にさらされて甚大な被害も受けたのだが、今でも島民の親日感情は強い。
 なぜ、彼らは日本を恨まないのか。その謎を解くべく、著者が島の古老たちを訪ねていくと、彼らの口からは「日本時代は良かった」と当時を懐かしむ言葉が語られる。
 「日本時代は楽しい時代だったのよ。食べ物にも困らなくていい時代でした。私は本当に感謝してますよ」と語るのは80代の女性。他にも日本人の子供と一緒に学校に通い、遊んだことや、日本人家庭でアルバイトしとことを楽しげに語る人が実に多いことに驚く。
 一方で戦後、米国がもたらした「自由」への不満を口にする島民が多いというあたりも興味深い。植民地支配イコール悪といったステレオタイプ的な見方が覆る1冊だ。

書名:日本を愛した植民地
著者:荒井利子
発行:新潮新書
定価:780円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

記事一覧 公式サイト

夕刊フジの書評からの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?