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「ターミナルタウン」 三崎亜記著

  かつては無数の電車が止まり、ターミナルタウンとして栄えていた静原町。しかし乗り換え路線の廃止により、ほぼ全ての電車がこの町を通過するようになった。
 三崎亜記の新作長編は、一風変わった町おこし小説だ。鉄道とともに発達してきた街が鉄道を失い、衰退しようとしている。
 しかし町民たちには「ターミナルタウンの誇り」が残り、鉄道の運行に合わせた特殊な時計を使っていたり、町の名物が「鉄道もなか」であったりする。
 鉄道をとったら何も残らなかった町が再生するためにはどうしたらいいのか。いたって現実的な問題を前に、さりげなく架空の事物が紛れ込むのが著者の作品らしい。
 影を失った男、見えないタワー、種から育てる隧道(ずいどう)・・・架空と現実が入り乱れ、人々の思惑が絡み合ううちに町が変わっていく様は、心地よい響きに満ちている。

書名:ターミナルタウン
著者:三崎亜記
発行:文芸春秋
定価:1785円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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