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「みなさん、さようなら」 久保寺健彦著

 人間ドラマに定評のある中村義洋監督が、団地の中だけで生きる少年の成長を描く青春映画。主人公の12歳から30歳までを演じる濱田岳の好演が見もの。
 1981年。団地で生まれ育った渡会悟(濱田)は、小学校卒業の日に「団地から一歩も出ずに生きていく」と決心する。中学校には通わず、ラジオ講座で勉強し、筋トレで体を鍛えた。
 やがて悟は団地内のケーキ店に弟子入りし、恋人の早紀(倉科カナ)と婚約する。だが心の拠り所だった小学校の同級生たちは次々と団地から出て行き、悟も人生の重要な決断を迫られる・・・。
 青春小説を得意にする久保寺健彦氏の原作は、第1回パピルス新人賞を受賞。暗くなりがちなテーマの引きこもりを、ユーモアを交えてポジティブに捉えたところがいい。かつては憧れの対象だった団地暮らしにこだわることで、時代の移り変わりや人情の温かさを浮き彫りにしている。
 (映画評論家・垣井道弘)

書名:みなさん、さようなら
著者:久保寺健彦
発行:幻冬舎文庫
定価:760円

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