ドラマ「いつまでも白い羽根」(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット)が4~5月まで全8回放送された。ドラマの原作となった藤岡陽子の小説『いつまでも白い羽根』(光文社)は、2009年6月に光文社より単行本として刊行され、13年2月に文庫化された。
「白衣の白は潔白の白さではない。どんな色にでもなり得る白。この先、何色の白衣をまとっているかは、それぞれの生き方にかかっている」
木崎瑠美は、大学受験失敗と家庭の事情により看護学校へ進学する。それは、瑠美にとって不本意な選択だった。他人に心を開けない自分が、看護師になれるわけがないと思い、瑠美はすぐに退学するつもりでいた。
物事に対する瑠美の眼差し、捉え方に変化をもたらしたのは、本物の友だちと呼べる千夏との出会い、患者の死に直面する厳しい看護実習、医学生の拓海への恋など、看護学校をきっかけに出会った人々、積み重ねた経験だった。強さと優しさ、真っ直ぐなところと柔軟なところ、心の中でバランスをとることを学びながら、瑠美は看護師の道を確実に歩んでいく。
著者は、報知新聞社にスポーツ記者として勤務した後、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。その後、慈恵看護専門学校卒業。看護師として働きながら小説を書き始めたという珍しい経歴の持ち主。本作には、こうした著者自身の経験が色濃く反映されている。
ドラマの収録現場を訪問した際に受けたインタビューで、「アフリカに留学して、医療の力があればと感じる場面に遭遇し、帰国後に看護学校へ入学」「入学したのは30歳、妊娠していたとき。人生で一番きつかった時期」と振り返った。
「19歳や20歳でこれだけ過酷な状況に向き合わなければいけない同級生たちを見て、看護学生はなんてすごいのだろう、と心底思った」「37歳で小説家としてデビューすることになり、題材として看護学校時代の、凝縮された時間を選んだ」と、著者にとって「本当に特別な作品」である本作に込めた思いを語った。(インタビュー内容は、ドラマの公式サイトより引用)
本書は丁寧な描写によって、ゆっくり、じっくりと物語が進められる。そのうちに、個性を持った登場人物たちに作品の世界へと引き込まれ、ページをめくる手が速くなるのを感じた。
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