読むべき本、見逃していない?

中小書店を締め上げる四重苦 、五重苦

「本屋」は死なない

 相変わらず本屋さんの店じまいが続いている。2018年2月28日の朝日新聞にそんな記事が出ていた。東京・代々木上原で38年続いた店が閉じた。東京・大阪ではこの10年で書店数が3割減ったという。

 書店の経営難と減少は、かなり前からに続いている。大型店による市場の寡占やネットの台頭が大きい。加えて10年ごろから電子書籍も本格化し、影響が広がっている。本書『「本屋」は死なない』(新潮社)はちょうどそのころに書かれた。

業界の有名店が登場

 業界では有名な書店や書店主が多数登場している。東京・雑司ヶ谷の小さな店「ひぐらし文庫」、論客として知られるジュンク堂書店の福嶋聡さん、和歌山のイハラ・ハートショップ。岩手・さわや書店、鳥取・定有堂書店、名古屋の「ちくさ正文館」・・・。それぞれを訪ねて、書店の今とこれからを探っている。

 著者の石橋毅史さんは、出版業界の専門誌として知られる「新文化」に長年勤め、05年から同紙編集長。09年に退社後はフリーになり、本書を執筆した。

 何かの論を立てて、解決策を提示するという本ではない。著者はあるときはアポを取り、ある時はとつぜん店を訪問する。ついでに立ち寄ったり、足を伸ばしたりした店の話もある。棚や客層を丹念に見つめ、時には店主と客との会話に耳をそばだてる。風に吹かれているような感じで、あちこちの心当たりの店を回る。そして、たとえば「ひぐらし文庫」の店主、原田真弓さについてこう記す。

 「書店が次つぎと消え、あるいは顔を失ってゆくいまの状況に少しでも抗い、『本』を良いかたちで届けようとそれぞれの居場所で頑張っている人に、僕はどうしても肩入れしてしまうのである。あなたはすごく大事なことをしている。これから先もっと必要になる人だ、と言いたいのだ」

大学生は全く本を読まない

 本書に出てくる岩手・さわや書店は、空前のロングセラー『思考の整理学』(筑摩書房)に店のPOPで火をつけた書店としても有名だ。ほかにも「名店」として知られる店は、それなりの努力をしていることが分かる。

 とはいえ最近、何かで見たのだが、大学生の半分は一日の読書時間がゼロだという。これには電子書籍も含まれているそうだ。もちろん新聞も読まない。活字文化はどんどん衰退している。大学進学率が50%を超えるようになり、むかしの大学生とは、質的に様相が異なっているから簡単に比較はできないが、大変な数字であることには違いない。

 冒頭の朝日の記事では、書店が取次大手のトーハンで、直接欲しい本を選んで発注する「店売」が3月末で休止になると出ていた。これにより店売を利用して独自色を出してきた小さな書店はさらに苦境に陥るという。学生は本を読まないし、トーハンには見限られる。「廃業」を検討している店が少なくないという。

  • 書名 「本屋」は死なない
  • 監修・編集・著者名石橋毅史 著
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2011年10月 1日
  • 定価本体1700円+税
  • ISBN9784103313519

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