原作は、「色気の魔術師」の異名を持つ加賀やっこによるコミックだ。小学館『ベツコミフラワーコミックス』で連載され、コミック累計100万部を突破した(全8巻 完結)。テーマは、作者自身が長年こよなく愛する「弓道」である。
大学受験を控えた岸本杏は、後輩の三神曜太に弓道部部長の任を引き継ぐことを決める。杏は高校三年間で弓道の実績を残せず、自分を中途半端に感じている。一方、三神は正真正銘のイケメンで、かつインターハイへ行くほどの弓道の実力者だ。弓道部部長を引き継ぐ先輩と後輩、それ以外の接点はないかと思われたが、ある時三神は杏に接近し、告白する。
「俺は、先輩のこと見てましたよ。この人エロいな......って」「人一倍下手くそなのに、毎日ひとりで誰よりも練習したり。ひたむきで好きなことに一生懸命で、そのすべてがすごくきれいで色っぽくて......俺の欲しいもので」(三神)
「知らない、こんな自分......知らないよ......。ほんとに私、どうにかなってしまったのかも」「そう......苦手、だった。神様から特別に与えられたような弓道の才能も、勝ち負けに執着しない投げやりな態度も、まったく感情を見せないあのきれいな顔も――」(杏)
恋愛経験のない杏は、真正面から感情をぶつけてくる三神に戸惑うが、三神の率直な言葉、肌と肌の接触、弓道の稽古をとおして、三神をもっと見ていたい、もっと知りたい、と感情が高まるようになる。
タイトルどおり、キスシーンが度々登場することと、杏が何人もの男子から好かれている状況は、現実にはなかなか起こりえないと思いつつ、羨ましくもある。10代を過ぎてしばらく経っていても、杏に自分を重ねて、思わず胸きゅんする。
加賀やっこは、2010年『嘘つきの、レンズ』でデビュー。『一礼して、キス』『花に、かみつく』『ゆれるるる』など人気作が多数あり、現在『ベツコミ』で『僕のジェラシー物語。』を連載中。豊田さんは映画やドラマ、漫画などをもとにしたノベライズ小説を多く出版している。
コミックを実写化した映画(監督 古澤健 主演 池田エライザ/中尾暢樹)は、昨年11月11日に公開された。ノベライズ本で想像を膨らませるとともに、コミックや映画で視覚的にも楽しみたい作品である。
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