米国文学などの翻訳のほかエッセイスト、コラムミストとして知られる青山南さんは、60歳を過ぎた2010年、意を決してメキシコに向かいそこで1年間を過ごした。目的は「語学留学」。高齢化が進む時代にあってはシニアの進路指標にもなる"冒険譚"だ。
青山さんは61歳のとき、教授を務める大学で1年間のサバティカル(研修休暇)を得た。自分の研究分野をさらに追究するための"休み"であるから、向かうところは米国であるべきなのだが、その米国の文学作品にはいまやスペイン語の使用頻度が増しており、その学習のためにメキシコを選んだものだ。
スペインの非営利組織「セルバンテス文化センター」によると、米国内のスペイン語話者であるヒスパニック系人口は約5000万人で、スペイン語人口の数では世界第2位。メキシコはスペイン語が事実上の公用語で人口約1億3000万人とスペイン語話者数トップであり、南米のスペイン語は「スペインのそれより16%楽」なのだという。
かねてよりスペイン語の知識の必要性を感じていた青山さんは、メキシコ留学前にはNHKラジオのスペイン語講座に挑戦したことも。同講座は4月、10月を年に2回開講期があるのだが、何度かトライしても1か月と続かず終わっていた。スペイン語には名詞に男性名詞・女性名詞の別があるほか、英語にはない動詞の用法があるなど、英語の文法や単語の知識を応用しようと思ってもなかなかうまくいかない。
ならば、スペイン語漬けになる世界に飛び込んでしまえ、となったわけだ。
訪ねたところは、メキシコ第2の都市グアダラハラ。国内では「真珠」にもたとえられる美しい街という。同国では1週間単位で語学学校に在籍することが可能。学校では能力別で一番下にクラス分けされた青山さんだが、ホームステイしながら通学し、学校で街で周囲に耳をそばだて推理しながら言葉を学ぶ。ホストファミリーである高齢姉妹のゴミ出しを手伝い,街でタコスを買う様子は言葉が不自由ながらもコミュケーションがとれ楽しそうだ。折に触れメキシコの歴史や文化も紹介している。
青山さんの愛読者になって40年近いという評論家の坪内祐三さんは週刊ポスト(2017年11月24日号)で「ブックレビュー」で「何か外国語を習得したいのだけどと思っている内にいつの間にか年を取り、もう無理、と思っている人にこそ読んでもらいたい」と述べている。
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