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趣味の「釣り」が高じてしまって・・・

書評掲載元:朝日新聞 9月17日 書評

捕まえて、食べる

 

 海外の自然ドキュメンタリー番組を見ていると「捕食者」という言葉がやたらと出てくる。ライオンだったりトラだったりニシキヘビだったりする訳だが、著者はまさに「捕食者」だ。

 

 子ども時代のザリガニ釣りから始まり、本業のフリーライターのかたわら釣りを中心とした食物採集を趣味とする。東京湾の干潟でアナジャコを、日本海の粟島でタコを、長野でザザムシを捕まえて食べるといった話が続く。

 

 世界で二番目に臭いとされるホンオフェを作るためにエイを釣るところから始めるというから病膏肓に入るといった感じだ。

 

 評者の宮田珠己氏(エッセイスト)によると「野生の本能を失った現代人がどうしたとか命をいただく意味がどうとか、小難しい話は一切なし。(中略)ただただもう捕まえて食べたいだけなのだ」というから、いっそすがすがしい。か つらつら考えれば、私たちは誰でも菜食主義者でない限り、自分で獲るか誰かに獲ってもらうかの違いがあるだけで、「捕食者」の一人に違いない。

 

 ネットには「ネットで書いた文章を集めただけ」というネガティブなコメントも目につくが、それはないものねだりというものだろう。むしろ、巻末の「捕まえて食べられるもの」リストの実用性を評価したい。

  • 書名 捕まえて、食べる
  • 監修・編集・著者名玉置標本 著
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2017年7月18日
  • 定価本体1300円+税
  • 判型・ページ数四六版変形・168ページ
  • ISBN9784103511410

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