まずは、赤塚不二夫のDNAを受け継ぐクリエイターの方々に登場願い、赤塚不二夫の魅力について縦横無尽に語ってもらいました。グラフィックデザイナーの祖父江慎は、バカに命を懸けた希有な存在と称賛します。思考停止を余儀なくさせるこの時代に、ギャグは明るい不意打ちになるとし、「シェ―!」の決めゼリフでポーズをとりました。美術家の会田誠は、たとえその先が崖であろうと、突っ込んでいく潔さにあこがれるといいます。エッセイストで批評家の四方田犬彦は、キャラの背後に見え隠れするエスニシティは、赤塚の満洲時代の影だと指摘。ミュージシャンの甲本ヒロトや米文学者・翻訳家の柴田元幸、作家の町田康らも赤塚作品への思いを吐露しました。
泉麻人(コラムニスト)、大森美香(脚本家)、渋谷直角(漫画家/コラムニスト)、FROGMAN(映像クリエイター)、喰始(WAHAHA本舗主宰)の5人がそれぞれ、『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』『もーれつア太郎』『天才バカボン』『レッツラゴン』の読みどころを語った、ボリュームたっぷりのお薦め作品ガイドもあります。さらに、シュールでナンセンスなギャグ漫画ばかりではない、少女漫画から人情ものや教養ものなど、その他の作品も紹介。また、子どもの頃の記憶がよみがえるアニメ作品もとりあげています。そしていま話題沸騰中の、『おそ松くん』の現代版『おそ松さん』も登場。その魅力を検証するとともに、藤田陽一監督のロングインタビューも掲載しました。
ほかにアラーキーが撮った、チャップリンやバカボンのパパに扮した赤塚不二夫の写真、漫画家にしてイラストレーターの江口寿史とアニメーション監督の大地丙太郎の酔いどれ対談、娘である赤塚りえ子が『天才バカボン』の編集担当者やミュージシャン坂田明に聞いた父の姿、一話完全収録した『天才バカボン』の原画もあります。特別付録として、「おそ松くん」と「天才バカボン」の両面ポスターも付けました。読む人を幸せにする漫画を多く生み出した赤塚不二夫、その存在に刺激されたクリエイター(丸山誠司、最果タヒ、大原大次郎、山本さほ、カレー沢薫、米田渉&畠山祐二)によるトリビュート作品も盛り込みましたが、私たちもトリビュート作品をつくりました。それがこのペン・プラスです。
誌名:Pen+(ペン・プラス)いまだから、赤塚不二夫発売日:2016/6/29定価:本体1,111円(税別)