レース開始直前に改良エンジンを投入することも珍しくなかった。
組み立てのメカニックは当然ながら残業して対応する。
それだけではない。つくっているのは日本であり、走るのは海外である。
完成したエンジンは、メカニックが成田空港経由で手荷物として
グランプリの会場へ持参するのである。
そんな荒技も珍しくなかった(第4章より)
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アイルトン・セナ、アラン・プロストらを擁し、
1988年シーズンのF1グランプリでは16戦15勝。
バブル期の日本にF1ブームを巻き起こした
「マクラーレン・ホンダ」が、2015年シーズンから復活する。
その全盛期にホンダの広報・渉外スタッフとして現場の最前線で
奮闘した著者が、サーキットの中だけではない、F1を取り巻く
さまざまな“戦い”をリアルに綴る。
セナとの交情、プロストとの駆け引き、エンジン開発をめぐる熾烈な攻防、
欧州メディアからのバッシングへの防戦、
車体に「少年ジャンプ」のロゴを貼った経緯、
現場を鼓舞した本田宗一郎の言葉……。
日本経済がアグレッシブだった時代に、未知なる領域に果敢にチャレンジし、
「チーム」となって世界と戦い勝利した、型破りの企業があった。
本書は、そのドキュメントである。
【目次】
はじめに
第1章 アイルトン・セナとの出会い
第2章 F1グランプリの内幕
第3章 F1が体現する欧州文化
第4章 日本がF1グランプリで戦うということ
終章 F1活動休止の決断
おわりに ホンダF1“再開”に寄せて
【著者プロフィール】
野口義修(のぐち よしのぶ)
1952年生まれ。元ホンダF1広報渉外マネージャー。76年ホンダ入社後、海外営業部、モーターレクレーション推進本部、国内四輪営業本部等を歴任。83年から92年までF1業務を担当し、88~92年の「マクラーレン・ホンダ」全盛期にイギリスに駐在してチーム運営に携わる。2012年に定年退職し、現在はコンサルティング業務に従事する。
http://shinsho.shueisha.co.jp/書名:集英社新書
F1ビジネス戦記 ホンダ「最強」時代の真実
著者:野口義修
発売日:2015年3月17日
定価:本体700円+税