ーー彗星ってとても感動的ですよね。ずっと見ていたいのに、一瞬で消えてしまうところがしまうところがいいんですよねーー
「皆さんはこの表現にあまり違和感は持たないかもしれませんが、これは彗星を流星、いわゆる流れ星と混同している典型的な例です」(国立天文台副台長渡部潤一氏)。
渡部氏の著書『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)によると、「テレビドラマの『流れ星』の主題歌『流星』のCDジャケットを飾っているのは、どう見ても彗星」「槙原敬之の『彗星』という歌や、古くはユーミンの『ジャコビニ彗星の日』などでは、タイトルとは裏腹に、その歌詞には明らかに流星しか出てきません」
彗星は、太陽をめぐる小天体のひとつであり、広大な宇宙を旅していく星のことを言う。いっぽう、流星は、地球の大気に小さな砂粒が突入して光る現象。燃え尽きて消えてしまう。彗星はしばしば長い尾を引くので、流星と間違われやすいのである。「大方の人はきづかないだろうし、こういった誤りのために、これらの歌やドラマの評価が下がるわけではないので念のため。どれも素晴らしい作品で私が好きな部類です」(渡部氏)。
そもそも、宇宙の現象を現す言葉は、私たちの生活に密着して使われている。「金融ビッグバン」「ブラックホールに吸い込まれるようだ」「新星のごとく現れた」、そして、韓国のヴォーカルダンスグループ「超新星」などなど。でも、なぜそのように使われているのか、「新星」と「超新星」はどう違うのだろう?
「天文学は天の文学」と言う渡部氏が、日常用語として使われている天文、宇宙の言葉から宇宙の全貌を読み解く天文エッセイ、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』を読みながら、秋の夜長、空を眺めて、壮大な宇宙のことを考えてみるのもよいのではないだろうか。
署名:面白いほど宇宙がわかる15の言の葉
著者:渡部潤一
発売:2012/10/1
定価:756円