今期の芥川賞を受賞した『おらおらでひとりいぐも』の若竹千佐子さん、『百年泥』の石井遊佳さんが同じ小説講座に通っていたことが報道され、注目されたのが本書『[実践]小説教室』(河出書房新社)の著者根本昌夫さんだ。
根本さんは文芸誌「海燕」や「野生時代」の編集長を務めた元編集者で、島田雅彦、小川洋子ら多くの作家のデビューに立ち会ってきた。東京・新宿の朝日カルチャーセンターの根本さんの教室には受講希望者が殺到し、なかなか入れないらしい。そこで「紙上小説講座」の開講となった次第だ。
「テーマさえ見つかれば、小説を書くことは、いつ始めても遅くありません」と根本先生は生徒を勇気づける。あなたにしか書けないことが、一つや二つはあると。
テーマのヒントとしてこんな例を挙げている。 ・家族 どんな家族で育ったか、家族の関係、家族の歴史 ・人間関係 揺れる友情、異性間の友情、教師と教え子など ・職業 どんな仕事をしてきたか、人生最大の仕事とは、女性には主婦になるとは ・身体 自分の体、身体性の理想へのこだわり ・お金 お金とのつきあい、金銭感覚 ・死 家族の死、自分の死、不慮の死など
実際の講座は、生徒の作品を互いに批評し合い、根本さんが講評を述べるという形で行われる。本書でも40代の女性が家族をテーマに書いた作品、さらに根本さんのコメントとリライト後の作品を紹介している。「テーマを言葉で紹介しない」「説明しすぎない」など実際の指導の様子がわかる。
根本さんは、小説を書きたい人のみんながプロになる必要はないという。小説を書くことで、生きていること自体が楽しくなってくるとその効用を説く。小説の基本なども解説しており、これから書こうという人には参考になるだろう。
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