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ラッキーを必然に変えてしまう「トップ5%セールス」の驚きの習慣とは

  • 書名 AI分析でわかった トップ5%セールスの習慣
  • 監修・編集・著者名越川慎司
  • 出版社名ディスカヴァー・トゥエンティワン

上手くいく月もあれば、まったく結果が出ない月もある。なかなか安定した成果を出せずに悩んでいるセールスも多いだろう。
その一方でいつでも安定して目標を達成し続けるセールスがいる。いわゆる「トップセールス」といわれる存在だ。なぜ彼らは成果を出し続けることができるのか。

ベストセラー「トップ5%」シリーズの最新刊『AI分析でわかった トップ5%セールスの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)のテーマは、タイトルの通り「セールス」だ。
本書では「3年連続で目標を達成し続けて、かつ社内の営業成績がトップ5%に入っている人」をトップ5%セールスと定義。行動や言葉をAIで分析しながら、彼らに共通している習慣をあぶり出す。

5%セールスは一体どんな「魔法」を使っているのか? 著者の越川慎司さんにお話をうかがった。

(新刊JP編集部)

■セレンディピティを引き寄せるトップ5%の行動とは?

――ベストセラーとなっている「トップ5%社員」シリーズの最新作のテーマは「セールス」です。この「セールス」の話に入る前に、これまでのトップ5%シリーズに届いた反響について教えてください。

越川:『トップ5%社員の習慣』からはじまり、4年間で新作を含めて4冊の本を出してきたのですが、予想外の反響を多くいただきました。

それは、想定していた読者層とは異なる方々がこのシリーズを読んでいるということです。例えば民間企業の方だけではなく、公務員や医療・介護関係者といった方々からの反響も多く、現場で頑張っている方々がこの本に共感してくださっているということが分かりました。

また、韓国語や中国語、タイ語など様々な言語で翻訳され、世界中で読まれているということも予想外でしたね。

――読者からのたくさんのコメントが越川さんに届いていると思いますが、印象に残っているものはありますか?

越川:印象的なのは、皆さんがこの本を通して自分の行動や習慣の答え合わせをしているということです。「意外とこれ自分もできている」とか、「この5%社員の行動はやったことがないから試してみよう」とか、本を通して自分自身の行動の振り返りをされている方が圧倒的に多いんです。

これは著者としては嬉しい限りで、「読んで終わり」ではなく実際に試してみて、自分にとって効果があるものを個別最適して、変化を起こしていってほしいと思っています。だから、読者の方からのアンケートに書かれている「やってみました」という言葉は、著者冥利に尽きますね。

――最新作の『AI分析でわかった トップ5%セールスの習慣』では、トップ5%のセールスパーソンの行動を分析しています。なぜ「セールス」をテーマにしたのでしょうか?

越川:まずは私がこれまで17万人の働き方改革を支援してきたなかで、頑張っているけれどもなかなか成果が出ないという人がセールス部門に多かったという点があります。読者アンケートへの回答や800社を超えるクライアント企業へのコンサル、講座を提供する中でもセールスに関する要望は多かったですね。

また、ビジネスはセールスからすべてが始まります。そのビジネスの起点にいる人たちにとって、どういう立ち振る舞いや言動が必要なのかを分析することで、ビジネス全般にも通じるものが得られるのではないかと思いました。

――実際にトップ5%セールスの行動や言動を分析する中で、越川さんにとって「新しい発見」はありましたか?

越川:多くのセールスが偶然に大型案件を受注する、いわゆる「ラッキーパンチ」を経験しているのですが、意外にも結果を出し続けている5%セールスも「運で獲得した大型案件がある」と答えていました。

でも、幸運ってそう連続では起こらないものですよね。ここでポイントなのが、5%セールスは偶然のラッキーを必然に変える力が圧倒的に高いことなんです。それは何も特別な力ではなく、常にアンテナを張って行動量を増やす、挨拶を欠かさないといった、ちょっとしたことの積み重ねです。

偶然獲得する幸運を「セレンディピティ」と呼びますが、5%セールスはそのセレンディピティを引き寄せるために、普段から信頼を積み重ねる行動を取っていたんです。

――5%セールスはラッキーパンチのままで終わらせない方法を知っているわけですね。

越川:そうです。彼らはなぜこの偶然の機会が自分にめぐってきたのかを考えます。そして、それが予期せぬ人、例えばたまたま参加したフットサルで知り合った人とか、社内懇親会で初めて話した別部門の同僚といった、偶然の出会いからもたらされることに気づくんです。だから、いろんな人との接点を増やそうと行動しますし、自分から相手にどんどんギブしていって信頼を高めていきます。

セールス自体のスキルを高めるよりは、セールス以外のところでの努力に重点を置いていることは驚きであり、印象的でした。

――今のお話は「ローリスク・ローリターン」で行動実験を繰り返し、学びを積み重ねていくという習慣にも通じます。これは「失敗を恐れない」「すぐに結果を求めない」ということだと思うのですが、やはり失敗は怖いし、すぐに結果を求めてしまいがちです。こうした思考から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか。

越川:これは2つあります。まずは「ローリスク・ローリターン」ができない理由の一つに、頭のどこかに「ローリスク・ハイリターン」があるものだと信じてしまっているんですよね。例えば、ChatGPTを導入すれば作業時間が半分になるとか、人事制度を変えれば社員の働きがいが3倍になるといった、「魔法の杖」がどこかにあると必死に探してしまうのです。

でも、実際そういうものはありません。ラッキーパンチを経験すると、「ローリスク・ローリターン」の積み重ねが馬鹿馬鹿しく見えてしまうけれど、本当は積み重ねがあったからこその成果であるはずです。だから、まずは「ローリスク・ハイリターン」はないものだと考えるべきです。

二つ目はおっしゃる通り、95%セールスは失敗を恐れがちです。そして、失敗を恐れて行動をしない。ただ、成功は失敗を繰り返した先にあるものです。成功と失敗はコインの表裏ではありません。成功と失敗の定義を変えることが必要です。

5%セールスの語りをAIで分析したところ、彼らの発言で一番多かった言葉が「実験」でした。どういうことかというと、失敗を失敗と考えていないということなんです。実験って、その結果をデータとして得るものですよね。つまり、次に活かす「学び」を得るものだと考えているんです。

――なるほど。実験と考えれば、一喜一憂することなく結果と向き合えそうです。

越川:挑戦と捉えてしまうと成功か失敗かになりますが、実験だと上手くいかなくても「これで一つデータが取れた」と考えられるようになりますよね。

5%セールスは成功したときの態度もかなり特徴的で、「なぜ成功したのだろう」とすごく疑ってかかります。そして成功の要因を探る。つまり、失敗しても成功しても学びを得て、次のセールスに活かそうとするんです。それが彼らの、モチベーションや一時の感情に左右されず、成果を出し続けられる仕組みなんですね。

――成果を出し続けられる5%セールスには、例えば経歴であったり、学生時代に何かをしていたといった点で、何か共通点はあるのでしょうか。

越川:これは面白いと思ったのですが、いわゆるエリート大学の出身者ではなく、中堅レベルの大学や高校を出ている人のほうが5%セールスには多いんです。

それは理由が二つありまして、一つ目はセールスって実績重視ですよね。勉強ができても案件を取れないと評価されない。だから、セールスが学歴とは関係ない勝負の世界であるという点が挙げられます。

二つ目は、フットワークの軽さです。IQが高い人の場合、どうしても最初に深く考えてしまうので、初動が遅くなりやすいんです。PDCAの「P(計画)」にすごく時間をかけてしまうわけですね。でも、5%セールスは「P」を小さくして、残りの「DCA」をどんどん回していくことに長けていて、より多くの実験を積み重ねることができます。

だから、IQよりもEQ(心の知能指数)、熟考力よりもフットワークの軽い人の方が、トップ5%に入っている確率が高いですね。

――「初動が早い」という言葉は、これまでの「トップ5%社員」シリーズでも共通して出てくるキーワードですね。

越川:そうですね。なぜ初動が早い人がトップ5%になるのかというと、「やる気」をあてにせずに、成果を出すための仕組みになっているからだと思います。まず動き始めることによって、行動量も増えて、学びを得る機会が増える。つまり、セレンディピティを獲得しやすくなるわけですね。

(後編に続く)

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