読むべき本、見逃していない?

様々な形式、様々なやり方。今、お墓について考えておきたいこと

  • 書名 令和時代のお墓入門
  • 監修・編集・著者名樺山玄基
  • 出版社名幻冬舎

生前整理や相続、エンディングノート、お葬式など、自分の人生をどのように締めくくるかを考える「終活」の中で、重要なのにあまりフォーカスされないのが「お墓」だろう。

「お墓」というと先祖代々受け継がれ、これからも承継されていくものというイメージが強いが、家族観の変化や、移動が活発になったことから、今、新たなお墓の形が求められているという。

今回は新たなお墓の形として注目される永代供養墓について解説をしている『令和時代のお墓入門』(幻冬舎刊)の著者で株式会社エータイの樺山玄基さんに現代のお墓事情について語っていただいた。後編では、永代供養墓に向いている人や多様なお墓の形についてうかがっている。

(新刊JP編集部)

■お墓をめぐる価値観の変化はここ10年で大きく変化

――「永代供養墓」はいつ頃から注目を集めているのでしょうか?

樺山:実際は以前からお寺にあったんですよ。大きく変わったのは1999年に「墓地、埋葬等に関する法律」が改正され、遺骨を他のお墓に移動しやすくなったんです。そこから、永代供養墓の需要が急速に高まり、ここ10年間でお墓のことを考える上で、「永代供養墓」というワードはよくのぼるようになりました。

その意味では、お墓に対する価値観がかなり変化してきているように思いますね。

――その価値観の変化は具体的にどのような変化なのでしょうか。

樺山:従来のイメージは一般墓ですよね。住まいは東京だけれど、お墓は田舎というのが以前の価値観だったのですが、今はもう田舎とあまり縁が深くないし、家族は全員東京にいるからこちらでお墓に入りたいということが通るようになってきたんです。

――なるほど。

樺山:あとは夫と別々の墓に入りたいという方もいます。一方でペットと同じ墓に入りたいという方もいますね。子どもがいないけれど、ペットが子どものような存在だから、と。そういう意味では価値観が多様化していますよね。

――それがここ10年間の変化ですね。

樺山:そうですね。家族の形の変化が、お墓に求めるものの変化に繋がってきていることは感じています。

――では、永代供養墓に合う方はどんな方なのでしょうか?

樺山:やはり、お一人の方ですね。あとは、家族構成なんかを見てみると、田舎から都会に移り住んでそこでご結婚されて、完全に都会に根付いているというご夫婦。あとはお子さんが女の子で、結婚しているようであれば、大きなお墓を作っても自分たちしか使わないから永代供養墓のほうがいいよね、となることが多いです。

――なるほど、すでにそのお墓に入る人が決まっている場合は、永代供養墓の方が良いというわけですね。

樺山:そうですね。一般墓は年間管理費もかかりますし、老朽化したら修繕もしないといけないので、そのお墓を面倒見る人が必要です。だから、コストがかかったり、肩身が狭い思いをされる方も結構いらっしゃいます。

やはり子どもには負担させたくないと思う親御さんも多いので、そういう方は永代供養墓に切り替えようというケースはありますね。

――永代供養墓にはさまざまなタイプの墓がありますが、例えば自然と一体になる「樹木葬」みたいなものも出てきて、人気を博しているとうかがいます。そのお墓の広がりが示す価値観の変化はどういう部分から出てきていると思いますか?

樺山:樹木葬を選ばれるということは、やはり日本人の根底にある仏教的な考え方があるのかなと思います。輪廻転生というところで、自然に帰ってそれがまた別の命へとつながっていくという考え方ですね。埋葬したお骨が土に還り、それが樹木の栄養となり、花や緑となり姿を表し、お墓参りの時にその花や緑に想いを馳せる・・・ここに一種のロマンを感じる方も多いのではと思います。

また、海洋葬について、ここにも日本人の仏教的な考え方であったり、あとはお墓ってちょっと窮屈な場所に押し込められるイメージを持っていらっしゃる方も多いので、そうしたところから今、非常に注目が集まっているのかなと思います。

――海洋葬は、遺骨を海に散骨して供養するタイプのものですね。

樺山:そうです。ただ、デメリットもありまして、海全体がお墓になるわけですから、ちょっとお墓のフィールドが広すぎてしまうという点があります。故人のことを思い出しにくくなるみたいな声はあったりします。

一方、樹木葬は目印となる樹木等がありますから、そういったことはありません。

――今後、永代供養墓が普及する中で、その墓を管理する寺院の役割にも変化が出てくると思いますが、その点についてはいかがでしょうか?

樺山:これまでは檀家と呼ばれる家がありまして、例えば1つのお寺を200とか300の御檀家さんが支えていたんですけど、やっぱり本堂を建て直すときとか、その檀家さんの負担もすごく大きくなってしまうんですよね。そうした中で、檀家制度が核家族化や少子高齢化で揺らいできて、維持するのが難しくなってきています。

そこで、永代供養墓が今後はお寺を支えていくことになるだろうと思います。今や、法要の数も檀家さん以上に永代供養墓に入っている方のほうが上回っているということもありますから。

――前の方で、永代供養墓は生前の宗旨宗派問わずに入れるとおっしゃっていましたが、それは本当なんですか?

樺山:基本的に私たちのご提供する永代供養墓はそうなっています。ただ、そのお寺が真言宗であった場合は、基本的に真言宗の方式で供養させていただきます。自分の宗派にこだわりがあって、「どうしても浄土宗でないといけない」という方は、その宗派のお寺の永代供養墓に入られます。

日本人の宗教観はとても緩やかで、仏教も宗旨宗派があるとはいえ、もともとは一つです。基本的にお経の種類も同じであったりしますし、多くの方は宗旨宗派の違いをあまり気にされないですね。

――では、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

樺山:そうですね。世代問わず幅広い方々が読める内容になっていますが、お寺の方にもぜひ読んでいただきたいです。実はお寺の方も最近のお墓事情を知らなかったりするんです。また、やはりお墓について考えるタイミングが近づいてきている世代の方にもぜひ読んでいただければと思います。今はこういうタイプの墓も出てきているということを知っていただくだけでも、ありがたいですね。

(了)

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