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仕事に「やりがい」を見つけることで人生はどう変わるのか?

  • 書名 『最高に「生きがい」のある仕事』
  • 監修・編集・著者名石田行司
  • 出版社名幻冬舎

生活に占める時間的比重の点でも、人生に充実感を得るための要素としても「仕事」は大きな存在だ。仕事が楽しく、やりがいがあるものであれば、それだけで人生にけっこう満足してしまったりするし、逆に仕事に苦痛しか感じられないと、毎日がつまらないものになりやすい。

だから、仕事の時間をいかに充実したものにするかは多くの人にとっての課題なのだが、これがなかなか難しい。あなたは、「今の仕事はやりがいがある」と断言できるだろうか?

『最高に「生きがい」のある仕事』(幻冬舎刊)の著者・石田行司さんも、かつては仕事につらさを感じていた一人だった。そんな石田さんはなぜ、「仕事は生きがい」と言うまでになったのか。「人生の中での仕事の位置づけ」に悩むすべての人にお届けするインタビューである。

■「プライベート」と「仕事」、そもそも分けられるものなのか?

――『最高に「生きがい」のある仕事』は石田さんの半生記になっています。この本を書かれた動機についてまずは教えていただければと思います。

石田:実は私は去年心筋梗塞を発症しまして、「死」というものがこんなに近くにあるのかと自覚するような体験をしたんです。その経験をしたことで、自分の子どもたちが成人して働き始めた時にアドバイスしてあげられなくなるかもしれないと思いまして、本にまとめようと考えました。

それとは別に、独立志望の若いビジネスパーソンや中間管理職で悩んでいる方々の相談もよく受けるので、そういう方々にとって少しでも学びになればいいなという気持ちもあります。

仕事というものが、単純に「ご飯を食べるお金を稼ぐためのツール」ではなくて、趣味やライフワークのように思えれば、あるいはそう思い込めれば、もっと人生は楽しくなるよということを伝えたいです。

――心筋梗塞になった際に「もうこれで死んでもいいな」と思ったと書かれていまいた。それは「仕事をやり切った」という納得感があったからでしょうか。

石田:自分が最終的に目指しているところまではまだまだ道半ばなのですが、その時点でやれることは全部やった、という思いはありました。道半ばなりに節目ごとに対する充実感はあったので、心筋梗塞で神様のお迎えが来るならば、それは自分の天命なのだとは思えましたね。

――それだけ仕事に打ち込んだと思えるのはうらやましいことでもあります。最近は公私をきっちり分ける人が多いように思いますが、石田さんはいかがでしたか?

石田:私はそこまできっちり分けるのは難しいんじゃないかと思うんですよね。というのも、誰にでも死生観はあって、それは仕事だとかプライベートというのを超えたものです。たとえば私は、死ぬ時にそれまで出会った人から「あなたに会えてよかった」と言われて死にたい。家族にも言われたいですし、仕事上の付き合いがあった人にも言われたいんです。そういう死生観と照らし合わせると、公私を分けることって、あまり意味がないような気がしています。

もっと一般的なところでいっても、プライベートで遊んでいる時に仕事のことが頭をよぎることはあるでしょうし、仕事をしながら晩御飯について考えることもあるでしょう。厳密に分けようと思っても、それはなかなか難しいですよ。仕事だとかプライベートだとか考えずに、自分の死生観、人生観と照らし合わせて「最終的にどう生きたい」という考えに従って生きる方が、シンプルで楽だと思います。

――きっちり分けようとするとかえって疲れる気はします。

石田:人は何のために働くかというと「夢」と「やりがい」と「お金」です。働くことが夢の実現にかかわることなら、そこにやりがいは生まれますし、働くことで誰かから感謝されれば、それはいずれお金になります。自分の人生という大きな枠組みで考えて、この三つのベクトルが揃っていることが理想なんだと思います。

――石田さんはMRとしてキャリアをスタートしました。当時から人生における仕事の位置づけや、働くことの意味について今のようなお考えを持っていたのでしょうか。

石田:そんなことはないです。最初はやはりサラリーマンとしてまずはお金を稼ぎたいと思っていましたし、会社の仕事で「こんなことやってられないよ」とか「もう辞めたるわ」とか思っていましたね。仕事とプライベートも、当時は分けて考えていたような気がします。

――仕事への意識が変わった転機のようなものはありましたか?

石田:娘が重度の障がいを持って生まれたことが転機でしたね。それまではMRとして医療業界の中にいながら、障がいを持つ子どもを授かるなんて、どこか他人事だったんです。

自分の娘がいざそうやって生まれたことで、世の中の理不尽さや辛さ、厳しさを感じましたし、一方ですごくありがたい出会いに恵まれたりもしましたのですが、この体験を通して「生涯のある娘が幸せに過ごせるような街を作りたい」と思うようになったんです。

そうなると、自分の仕事と夢がリンクするんですよ。それが転換点でした。

――今は起業して、自分の会社でその夢を追っていらっしゃる。

石田:そうです。たとえば、たまに障がいのある方が車を停める時の「駐車禁止等除外標章」が置いてある車があるじゃないですか。あれは警察署に行ってもらうものなのですが、多くの人はそれを知りません。

私がやっているのは調剤薬局のチェーンなのですが、ただ薬を渡すだけではなくて、税制の優遇とか助成金の申請はどこで、障がい者福祉の申請はどこで、小児科のいいリハビリセンターはどこでといったことを、薬局に来れば全部わかるようにしたら、障がいを持った方々はもちろん、そうでない人ももっと暮らしやすくなるのではないかと思ってやっています。

――暮らしにかかわる様々なことを薬局でアドバイスできるようにするということですね。

石田:そうです。たとえば介護保険の申請にしても、市の介護福祉課の職員に紹介状を書いて手続きがスムーズにいくようにしたり、膝が痛いという方には、膝の治療に詳しい先生のいる病院を教えて、紹介状を書いて診察・治療を受ける道筋をつくってあげる、ということをやっています。

それは、さっきお話した私の死生観ともつながっていて、「目の前の患者さんが、もし自分の家族や友達だったらどうするか?」という考え方を自分だけでなく従業員にも徹底するようにしています。

今は都市機能の中に、困ったことを何でも相談できる仕組みを入れられないかということで、マンションのデベロッパーと一緒に「ライフコンシェルジュ」という仕組みを入れたマンション建設を手がけたりもしています。

(後編につづく)

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だから、仕事の時間をいかに充実したものにするかは多くの人にとっての課題なのだが、これがなかなか難しい。あなたは、「今の仕事はやりがいがある」と断言できるだろうか?

『最高に「生きがい」のある仕事』(幻冬舎刊)の著者・石田行司さんも、かつては仕事につらさを感じていた一人だった。そんな石田さんはなぜ、「仕事は生きがい」と言うまでになったのか。「人生の中での仕事の位置づけ」に悩むすべての人にお届けするインタビューである。

■「プライベート」と「仕事」、そもそも分けられるものなのか?

――『最高に「生きがい」のある仕事』は石田さんの半生記になっています。この本を書かれた動機についてまずは教えていただければと思います。

石田:実は私は去年心筋梗塞を発症しまして、「死」というものがこんなに近くにあるのかと自覚するような体験をしたんです。その経験をしたことで、自分の子どもたちが成人して働き始めた時にアドバイスしてあげられなくなるかもしれないと思いまして、本にまとめようと考えました。

それとは別に、独立志望の若いビジネスパーソンや中間管理職で悩んでいる方々の相談もよく受けるので、そういう方々にとって少しでも学びになればいいなという気持ちもあります。

仕事というものが、単純に「ご飯を食べるお金を稼ぐためのツール」ではなくて、趣味やライフワークのように思えれば、あるいはそう思い込めれば、もっと人生は楽しくなるよということを伝えたいです。

――心筋梗塞になった際に「もうこれで死んでもいいな」と思ったと書かれていまいた。それは「仕事をやり切った」という納得感があったからでしょうか。

石田:自分が最終的に目指しているところまではまだまだ道半ばなのですが、その時点でやれることは全部やった、という思いはありました。道半ばなりに節目ごとに対する充実感はあったので、心筋梗塞で神様のお迎えが来るならば、それは自分の天命なのだとは思えましたね。

――それだけ仕事に打ち込んだと思えるのはうらやましいことでもあります。最近は公私をきっちり分ける人が多いように思いますが、石田さんはいかがでしたか?

石田:私はそこまできっちり分けるのは難しいんじゃないかと思うんですよね。というのも、誰にでも死生観はあって、それは仕事だとかプライベートというのを超えたものです。たとえば私は、死ぬ時にそれまで出会った人から「あなたに会えてよかった」と言われて死にたい。家族にも言われたいですし、仕事上の付き合いがあった人にも言われたいんです。そういう死生観と照らし合わせると、公私を分けることって、あまり意味がないような気がしています。

もっと一般的なところでいっても、プライベートで遊んでいる時に仕事のことが頭をよぎることはあるでしょうし、仕事をしながら晩御飯について考えることもあるでしょう。厳密に分けようと思っても、それはなかなか難しいですよ。仕事だとかプライベートだとか考えずに、自分の死生観、人生観と照らし合わせて「最終的にどう生きたい」という考えに従って生きる方が、シンプルで楽だと思います。

――きっちり分けようとするとかえって疲れる気はします。

石田:人は何のために働くかというと「夢」と「やりがい」と「お金」です。働くことが夢の実現にかかわることなら、そこにやりがいは生まれますし、働くことで誰かから感謝されれば、それはいずれお金になります。自分の人生という大きな枠組みで考えて、この三つのベクトルが揃っていることが理想なんだと思います。

――石田さんはMRとしてキャリアをスタートしました。当時から人生における仕事の位置づけや、働くことの意味について今のようなお考えを持っていたのでしょうか。

石田:そんなことはないです。最初はやはりサラリーマンとしてまずはお金を稼ぎたいと思っていましたし、会社の仕事で「こんなことやってられないよ」とか「もう辞めたるわ」とか思っていましたね。仕事とプライベートも、当時は分けて考えていたような気がします。

――仕事への意識が変わった転機のようなものはありましたか?

石田:娘が重度の障がいを持って生まれたことが転機でしたね。それまではMRとして医療業界の中にいながら、障がいを持つ子どもを授かるなんて、どこか他人事だったんです。

自分の娘がいざそうやって生まれたことで、世の中の理不尽さや辛さ、厳しさを感じましたし、一方ですごくありがたい出会いに恵まれたりもしましたのですが、この体験を通して「生涯のある娘が幸せに過ごせるような街を作りたい」と思うようになったんです。

そうなると、自分の仕事と夢がリンクするんですよ。それが転換点でした。

――今は起業して、自分の会社でその夢を追っていらっしゃる。

石田:そうです。たとえば、たまに障がいのある方が車を停める時の「駐車禁止等除外標章」が置いてある車があるじゃないですか。あれは警察署に行ってもらうものなのですが、多くの人はそれを知りません。

私がやっているのは調剤薬局のチェーンなのですが、ただ薬を渡すだけではなくて、税制の優遇とか助成金の申請はどこで、障がい者福祉の申請はどこで、小児科のいいリハビリセンターはどこでといったことを、薬局に来れば全部わかるようにしたら、障がいを持った方々はもちろん、そうでない人ももっと暮らしやすくなるのではないかと思ってやっています。

――暮らしにかかわる様々なことを薬局でアドバイスできるようにするということですね。

石田:そうです。たとえば介護保険の申請にしても、市の介護福祉課の職員に紹介状を書いて手続きがスムーズにいくようにしたり、膝が痛いという方には、膝の治療に詳しい先生のいる病院を教えて、紹介状を書いて診察・治療を受ける道筋をつくってあげる、ということをやっています。

それは、さっきお話した私の死生観ともつながっていて、「目の前の患者さんが、もし自分の家族や友達だったらどうするか?」という考え方を自分だけでなく従業員にも徹底するようにしています。

今は都市機能の中に、困ったことを何でも相談できる仕組みを入れられないかということで、マンションのデベロッパーと一緒に「ライフコンシェルジュ」という仕組みを入れたマンション建設を手がけたりもしています。

(後編につづく)

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