このコロナ禍で太ってしまった男性は多いだろう。
テレワークや外出しないことによる運動不足、なのに食べる量は変わらない。お腹が出てきたが見て見ぬ振り...というわけにもいかなくなってきた。
そんな世の中の悩める男性たちに向けたダイエット本がある。
一般社団法人日本ヘルスアップダイエット協会代表理事の大上まりあさんが執筆した『ゆるヤセ』(白夜書房刊)だ。「ゆるヤセ」の特徴は、たった3つのメソッドで、ムリなく、健康的に痩せるというもの。さらに、なぜ人は痩せるのかという、原理を詳しく説明してくれている。
この本に出合い、さっそく「ゆるヤセ」を実践中の新刊JP編集部・金井が著者の大上さんにその極意を伺った。
(聞き手・記事/金井元貴)
――『ゆるヤセ』について伺っていければと思っています。私自身もダイエットは経験あるのですが、男性向けのダイエット本はあまりなくて、あったとしてもだいたいは糖質制限だったり、筋トレ本ばかりで困った覚えがあります。男性向けダイエット本が少ない理由について大上さんはどう捉えていますか?
大上:これにはいくつか理由があると思っていて、まずは自分が健康管理をしているとか、ダイエットをしていると宣言するのがダサいという空気があります。本当は「太ってきた、ヤバい」と心の底で思っているけれど、表では「自分はタフだし大丈夫だ」と言いたい傾向にあるのだと思います。一種の同調圧力がはたらいた結果です。
次に、男性の関心事って、自分を中心に外に向かっているんです。仕事、遊び、家庭、人付き合いと、自分の外見やオシャレを気にするのではなく、奥さんが綺麗かどうかとか、どんな人と交流しているのかというようなことに関心が向かうんですね。その結果、自分に対してのケアが疎かになってしまう。
そして、最後は太ったおじさんってキャラ立ちするじゃないですか。その一方で女性からは不評だったりするので、「痩せた方がいいかなあ」なんて言ってもまともに取り合ってもらえない。他者から真剣にアドバイスをもらえないんです。
――確かに太っていると、キャラがつきますよね。
大上:そこに居座ってしまっているわけですね。でも、内心は「ちょっと痩せないとまずいかな」と思っているはずなんです。でも、「ダイエットするぞ!」と言っても真に受けてもらえないし、どうせ続かないと思われる。その結果デブキャラとして居座り続けると。
そういう方々のために、男性向けの食事制限でも筋トレでもない方法で行うダイエット本として本書を書きました。
――男性向けダイエットの書き方として気を付けたことはなんですか?
大上:細かいことは書かないということですね。食事にしても、例えば豚汁とけんちん汁に違いをあまり把握していなかったり、緑黄色野菜と言っても何の野菜があるのか認識していない男性が多いですから。
――確かに一般的なダイエット本って、レシピが掲載されていて、細かくこの野菜やフルーツを食べましょうと書かれていますが、本書にはそれがありませんね。
大上:30代半ばから60近い方までの男性をモニタリングしながら、それを彼らに課すのは難しいと思いました。今回、本書で痩せるための「3つの達人」プログラムを紹介しているのですが、メソッドを一個ずつマスターしていかないと、全部クリアできない。「水を飲むようになったよ。さて次だ」みたいな感じです。
――分かります。段階を踏んでいかないとできません。
大上:モニタリングした男性の9割方がそうで、仕事ができる・できない関係なかったので、男性はこういう生き物なんだなと理解しました。だから、細かいことを削ぎ落して、感覚的に理解できるようにする部分は苦心しましたね。
あまり否定せずに褒めながら最後まで3つの達人をマスターしてもらって、1ヶ月くらいちゃんと続けていると、「いつの間にか数キロ痩せている!」という感じになります。そして、3ヶ月くらい続けると、少し体調が良くなって、体が軽くなったように感じることが多いようです。また、味覚も生き返ってくるので、塩辛い、甘いといったことが強く感じるようになります。だから塩分控えめにしようという意識が出てくると。
――おおまかに「ゆるヤセ」の概念をお聞きしてきましたが、改めて「ゆるヤセ」というメソッドの特徴を教えてください。
大上:先ほども申し上げたように、既存のダイエットメソッドの枝葉を切り落としてシンプルにしたものなので、特に真新しい要素はありません。
ダイエットができない人の前提に立った時にどうすればダイエットできるのかということを突き詰めていっているわけですが、大きく分けると2つあるんですね。一つは「水を飲むこと」、一つは「夜遅くにご飯を食べないこと」。これだけです。
そのサポートで、「大人チートの達人」としてサプリメントなどを紹介していますが、基本は水とご飯を食べる時間ですね。この2つを上手く自分の生活リズムに取り入れることができれば、一生やっていけるダイエットです。
夜遅くにラーメンを食べたくなったら、そこは我慢して次の日のお昼に食べましょう。一生食べてはいけないわけではないんです。あと、問題はお酒ですが、それは朝から飲むと怒られちゃうので、うまく時間帯を選んで飲んでください。
――読ませていただいて、とてもロジカルに書かれていると思いました。痩せる原理をまず説明して、こうだからこれをやりなさい、と。そこは男性向け特有だなと。
大上:モニターをしてくださった男性の多くが、「どうして?」ってすごく聞いてくるんです。「こうだからよ」と言うと、「なるほど」と言ってきちんと実践してくれるのですが、男性はちゃんと腹落ちしないとできないということが分かりました。
私自身も実は理屈が欲しいタイプで、あまり女性らしくない思考回路をしているのですが(笑)、そういうところでは男性向けダイエットを指南するに合っていたのかなと思います。まずは理論ありきなので。
――無駄なことをしたくないと考えている男性からすれば、そういう考え方の方がありがたいです。
大上:そうですね。私も無駄が嫌いなタイプなので、最初にちゃんと調べて、理論立てて予測とともに作っていったメソッドがこの「ゆるヤセ」です。だから、本当に無駄がないダイエット法だと思いますね。
――逆にダイエットに成功しやすい男性に共通しているポイントってありますか?
大上:ダイエットも仕事も実は同じで、本の中に書いてあることをそのまま読んで実行して成功できる人はだいたい全体の5%くらいしかいないと聞いています。
では、なぜほとんどの人が成功できないのかというと、本の内容って基本的にはプロが書いた理想論なんですね。それをアマチュアである読者がそのまま実践してもできるわけがありません。大事なことは、理想論を自分に置き換えて、このくらいはできるだろうということを取り入れる。つまり、All or Nothingにしないということです。
――確かに本を読むと100%取り入れようとしてしまいますね。
大上:そうなんです。ダイエットなら体質も違うわけで、その人にとって合ったやり方は絶対違うんですよ。自分の中でできるやり方を取り入れていく、このアレンジ力が強い人は大抵のことが可能です。
――全部取り入れようと思うと、結局「やること多すぎて難しくてダメ」となりますね。
大上:そうですよね。だから、そこが一番重要で、いかに自分の生活の中にうまく馴染ませていけるかというところが勝敗のカギを握っていると思っています。
読者の方からご質問をいただくと、上手くできないと言っている人の多くは私が書いた通りに全て必死にこなそうとしているんです。実はそうではなく、100%そのままやるのではなくて、自分なりにアレンジをして6割できればOKくらいの感じで始めて、だんだん8割できるようになるくらいの考え方でいいのではないかと思っています。
(後編に続く)
次これ読もう、が見つかる「新刊JP」 日本最大級の書籍紹介ウェブサイト。話題の書籍や新刊本をブックナビゲーターが音声で紹介するインターネットラジオ番組「新刊ラジオ」や、書評記事、イベントレポート、出版業界の動向などを提供するニュースメディア「新刊JPニュース」、旬の作家のインタビューを掲載する「ベストセラーズインタビュー」、書店をフィーチャーした企画や電子書籍レビューなど、本にまつわるコンテンツを豊富に揃えています。あなたの「あ、これ読みたい」が見つかるはずです。
記事一覧 公式サイト当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?