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「ウィズ・コロナ」でも変わらない、人生でずっと使える仕事の基本とは

  • 書名 仕事がデキる「新人・若手社員」になる! 潮田式 "1on1" ビジネス基礎研修
  • 監修・編集・著者名潮田、滋彦
  • 出版社名ごま書房新社

社会や環境の大きな変化の中で、変わらないものがある。その一つが「仕事」の基本だ。

デキるビジネスパーソンになるためには、どんな環境、場所においても通用する「基本」をまず習得することが大切だ。では、どのように「基本」を覚えていけばいいのだろうか? 

今回は『仕事がデキる「新人・若手社員」になる! 潮田式 "1on1" ビジネス基礎研修』(ごま書房新社刊)の著者であり、研修講師として新人からベテランまで幅広いビジネスパーソンに研修を行っている潮田、滋彦さんに「デキるビジネスパーソン」になるために必要なことを伺った。

(新刊JP編集部)

■「ウィズ・コロナ」の働き方で変わるもの、変わらないものは何か?

――潮田さんは研修講師としてご活動されていますが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で新人研修や社員研修が中止になってしまったり、延期になってしまったりということはあったのでしょうか?

潮田:そうですね。実際私の場合ですと、3月中旬から5月いっぱいまでの研修は全てキャンセルまたは延期でした。6月になってからは多少再開していますが、4~5割程度というところです。秋以降は春・夏で延期になった研修も入ってくるので、忙しくなりそうです。

現在の集合研修とリモート研修の割合は4:6くらいでしょうか。ただ、集合研修といっても2メートルの間隔で座らなければいけないので、グループワークはできません。また、リモート研修になると、こちらが感情豊かに話をしていても、それが意外と伝わっていないなと感じることがあったりします。

――コロナ禍によって企業の新入社員の研修や育成の計画が崩れてしまったということを聞いています。その中で、さらにリモート勤務になると、新入社員に仕事の基本をどうやって教えていくかは大きな課題ですよね。

潮田:そうした状況はあると思いますね。本書はコロナ禍が本格する直前、ステイホームの呼びかけが出る前に「書きませんか?」と声をかけていただいて書き始めました。こういう状況下だからこそ、家にいながら、仕事を進める時の基本的な考え方や押さえどころをしっかり学べる本が作れたら、皆さんのお役に立てるんじゃないかと思ったんです。

今、多くの企業でリモート勤務が推奨され、新入社員は画面越しに上司や育成担当の人から指示を受けたりしていますが、やはり人間関係が構築されていない状況でコミュニケーションを取るのは難しいですよね。どうしても齟齬が起きてしまいがちです。新入社員も実際の職場を想像しながら学ぶだけなので、なかなかリアリティを感じにくいかもしれません。

そこで、仕事の進め方において「本当の押さえておくべき場所はここだ」ということをこの本で教えることができれば、新入社員の皆さんが実際に現場に行ったときも応用が効くし、社会人としてのベースをしっかりと学んだ状態で効率よく仕事に取り組めるようになるんじゃないかと考えました。

――タイトルにあるように、この本は上司と部下の「1on1」の対話形式で進んでいきます。この「1on1」という形式のモチーフについて教えてください。

潮田:最近、「1on1」を取り入れている会社さんは多いですよね。職場の人材育成はOJTがベースになりますが、「1on1」を取り入れることで、よりしっかりと振り返りができたり、仕事の基本を教えることができるようになる。OJTにとって欠かせないものなんです。

だから、今回は「1on1」という上司と部下の面談を通して、部下の実務面でのレベルアップを促すという、そういうようなシミュレーションを書いてみようと思ったんです。 この本に登場するスギナミ課長という上司が、ティーチング(教える)とコーチング(引き出す)という両方のアプローチを上手に使いながら、部下のオオタさんを成長に導いていくストーリーになっています。

――「仕事の基本」というところで、このコロナ禍で仕事そのもののあり方が変わったりするのではないかと思うのですが、潮田さんはどのようにお考えですか?

潮田:これは2つ考え方があると思います。変わらないものと変わるものがあって、まずは変わらないものでいうと、「物事の本質を捉える力が必要である」ということ。これはどんなに環境が変わっても、転職をして別の会社にいっても、同じです。必要なんです。

一方の変わるものは、リモートによるコミュニケーションの変化ですね。リモートだとやっぱり感情が伝わらなかったり、言葉の意図が見抜けにくくなったり、画面をシャットアウトして声だけで参加する人もいます。だから、今まで以上に、言うべきことをはっきり言わないといけなくなる、そして確認すべきことをしっかり確認しなければならなくなるんじゃないかなと思うんですね。

また、本書にも書いていますが、ビジネスチャットツールで情報共有するということもよく聞くようになりましたが、手軽であるがゆえにコミュニケーションの行き違いが起こってしまいがちです。自分の書いた意図ではない意味を解釈されたりすることも出てきますから、その点は注意すべきでしょうね。

――リモートでのコミュニケーションの取り方に対しては私も戸惑いがあります。チャットでも呼びかけをするときに、ちゃんと「お疲れ様です」と書いてしまって。

潮田:私は、それは大切なことだと思いますよ。

――ただ、要件だけを書いてほしいという方もいます。それは人それぞれなのかなと。

潮田:この本で、人間は「自分の当たり前で話をしてしまう」と書いていますが、それが行き過ぎると、他人の当たり前を受け入れられなくなってしまうんです。挨拶というクッションがあったほうがいいという人、単刀直入の方がいいという人、それぞれですが、押し付けすぎないことが大事ですね。

そして、「変わらないもの」と「変わるもの」はおそらく新人や若手だけでなく、上司や先輩にあたる人たちにとっても重要なものだと思います。特に上司や先輩はリモートによって今まで通りのコミュニケーションができなくなっている中で、それでも部下や若手を育成しないといけない。そこに対応しなくてはいけないんです。

たとえば、上司の立場の人に話を聞いてみると「リモート中の面談で沈黙が怖くて、自分から話してしまう」という声もありました。でも、相手は考えているから沈黙をする。つまり沈黙は必要な時間なんです。だから、上司や先輩は「聞く力」を鍛えないといけないと思うんですね。

――なるほど。

潮田:それと、このような環境の激変は、捉え方次第ではチャンスにつなげることもできるはずです。だから、ものごとや体験に対して良い面や価値を見出していくことが大切です。新しくてもっと良いやり方を見つけるチャンスかもしれない。そんな風に上司自身が捉える。そういうことが問われているのではないのかなと思います。

――おっしゃる通りです。「聞く力」については、例えば「1on1」なら、上司は部下の話を聞くことが一つの大きな目的ですし、それができないと「1on1」の意味がないですよね。

潮田:そうなんですよね。だから、ミーティングの初めとかに、「沈黙はOKです」ということをはっきり言ってしまうことが重要だと思います。そうすれば、本人はちゃんと自分と向き合って考えて発言することができるし、上司も沈黙をしっかり許すことができるはずです。そして、本でもふれていますが、出た意見を否定しないこと。もしかしたら、自分が持っていない新しい発想や視点かもしれないのに、否定してしまうと部下は二度と本音で意見を言ってくれなくなります。

(後編に続く)

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