会議や普段のコミュニケーションやSNSでの会話で、「屁理屈」で自分の意見を通したり、やりたくないことから逃げる人が周りにいないだろうか。
インターネットはさらに顕著かもしれない。ヘイトスピーチやハラスメント発言、デマ、レスバなどで、巧妙な屁理屈が多く用いられている。今の時代「屁理屈を屁理屈と見抜く力」は大事な能力だろう。
『屁理屈に負けない! ――悪意ある言葉から身を守る方法』(桑畑幸博著、扶桑社刊)では、ロジカル・シンキングのプロとして慶應社会人ビジネススクールで20年のキャリアを持つ桑畑幸博氏が、16種類の屁理屈の見抜き方を紹介する。屁理屈には16種類もあるのだ。
そもそも「屁理屈」の定義とはどんなものなのか。
桑畑氏によると「他者にとっては無意味な、つまり自分を有利にすることを目的とした、筋の通っていない(非論理的な)、あるいは強引にこじつけた(乱暴な論理の)考え・意見」。
ただし、非論理的にみえる意見がすべて屁理屈かというと、そうとは限らない。
「直感です」「なんとなくそう思います」という意見でも、その背景には自分の経験や見聞きしたことから用いられていることもある。なので、「直感」でも非論理的思考とは言い切れないのだ。
一方で「論理=ロジックがあれば、みんな納得するわけではない」こともいえる。すべての言葉の背景には、その人なりのロジックが存在する。けれど、そのロジックが弱かったり、見当違いだった場合に、自分の非を認めず、押し付けようとする。これは「理屈」ではなく、「屁理屈」といっていいだろう。
屁理屈の代表的な手法は「論点のすり替え」だ。話の論点をすり替えて、人格攻撃をしてくる場合がそれにあたる。論点のすり替えは、議論で優位に立つために使われる。このような論点のすり替えは「揚げ足取り」とも呼ばれる。
もし、自分が人格攻撃をされた場合、どう対処すればいいのか。この場合は、謝ってしまうのが一番いい。きちんと過ちを認め、謝罪した上で、「ですが、本来の論点は...」と議論を本筋に戻す。すると、相手は一時的に優位に立てるが、それ以降は本来の論点で議論する他なくなる。
無用なプライドは捨てて、「揚げ足取り」をされたら、謝罪して本来の論点で議論を進める習慣を身に付けるようにすれば、自分自身を屁理屈から守ることにもなる。
屁理屈は相手からだけでなく、気づかぬうちに自分が屁理屈を使ってしまっている場合もあるので、注意しなければいけない。たまに、自分の言動を振り返ることもしておくべきだろう。
そういったことも含め、屁理屈についての知識、屁理屈から見抜く力を本書から身につけてみてはいかがだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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