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「察すること」ができない男性 産後の夫婦危機にどう対処する?

  • 書名 『知っておくべき産後の妻のこと』
  • 監修・編集・著者名東野純彦
  • 出版社名幻冬舎

出産後の妻がふさぎこんでいたり、冷たかったり、ささいなことでイライラしたり。
産後の女性に訪れるこうした変化に戸惑う男性は多いはず。

『知っておくべき産後の妻のこと』(東野純彦著、幻冬舎刊)は、この時期の女性の心身に何が起きているのか、この変化に対応するためにパートナーの男性はどんなことを知り、どんな風に接すればいいのかを解説する一冊。

今回は著者で産婦人科医の東野純彦さんにインタビュー。産後の女性に起こる変化と、それが夫婦関係に与える影響についてお話をうかがった。その後編をお届けする。

■「産後」は結婚生活の分かれ道 そこで夫は何をすべきか

――「産後クライシス」についてですが、原因は女性のホルモン分泌の変化だけではなく、コミュニケーションにもありそうですね。

東野:問題は男性の側がこうした女性の変化について理解していないことなのです。知ってさえいれば、産後の女性がイライラするような言葉は言わないですみますし、もし言ってしまったとしてもすぐに謝ることができると思います。

私はもうすぐお父さんになる男性のための「父親教室」を20年近くやっているのですが、こういう話をすると「では、どうしたらいいんですか?」という話になります。結論からいえば、女性が求めているのは「何も言わずにやってほしい」ということなんです。でも、そんなのできないでしょ(笑)?

――できないと思います。

東野:男性は「察する」ということができないか、苦手な人が多いのです。やってほしいことがあるなら言ってほしいと思っている。

そのことを、今度は「母親教室」で話します。女性同士なら自然にできる「察する」ということが男性はできないと。女性は女性で、「男性はそういうものだ」っていうことを理解する必要があります。男女の間で、お互いに努力して、相手との違いを理解するというのが、「産後クライシス」を避けるためには大切です。男性と女性は、脳のつくりから違うのですが、意識しないと相手が自分と違う性質を持った存在だということがなかなか本当にはわからないんですよね。

――男性側からすると、こうした女性の変化は腑に落ちず、理由もわからずにイライラされて理不尽だと感じることもあるはずです。こんな感情をもった時、男性はパートナーとの関係を壊さないためにどうすればいいのでしょうか。

東野:こればかりは自分が変わるしかありません。「産後の女性はこういうものなんだ」ということを理解して、それを受け入れる覚悟をする。今回の本を通じて、男性の方々の覚悟を促したいという気持ちがありました。

特に出産後の一カ月は本当に意識して、女性の側に寄り添って、相手の気に障ることは言わないように気づかっていただきたいです。かといって奴隷になれというわけではないのですが。

――「奴隷になればいいわけではない」とは本書の中でも書かれています。このあたりが男性にはどうすればいいのか難しそうです。

東野:もちろん、女性の側も男性に奴隷になれと思っているわけではありません。結婚したからには相手のいいところはわかっているし、魅力を感じているはずです。ただ、男性はよく「釣った魚にエサをあげない」なんて言われることがありますが、結婚するまでは相手の気を引きたくて色々なことをやっていたのに、結婚したり子どもができたりしたとたんに、会話が減ってしまう人は多い。相手が自分のことを理解してくれていると思っているとしたら、それは思い込みです。

男女の関係は人それぞれに違うものですから「こうすればいい」という正解はありません。自分で考えるしかないのですが、少なくとも普段の会話は大事ですよね。特に産後のことは、妊娠期間中によく話しておいていただきたいと思っています。

「僕にはこれができる」「私はこれをしてほしい」「これをされたら嫌だ」というのをすり擦り合わせておく。こういうことは出産後の、女性が不安定な時期に話すのは難しいので。二人の間で決めごとがあれば、産後になっても互いにストレスを抱えることは減るのではないかと思います。

――東野さんが今回の本を通して伝えたかったことはどんなことですか?

東野:繰り返しになりますが、まずは男女の間にある歴然とした違いを知っておいていただきたいということです。そして、「Agree to disagree(意見が違うことを認める)」という言葉がありますが、相手は自分とは違うんだということを認めること。

それは差別とはいわないはずです。本当は学校教育で教えるべきことだと思うのですが、教えていないので、今回の本を通じて知っていただきたいですね。

あとは、特に男性の方々に、結婚や子どもを育てることについてもっと覚悟を持っていただきたいという思いもあります。産婦人科医としての経験上、男性は何となく相手を好きになって、なんとなくプロポーズして結婚したという方が少なくないのですが、最初はそうでも人間は成長していけるので、徐々にでも結婚生活や子育てへの覚悟を培っていただきたいと思います。

――最後に妻の出産を控えている男性や、産後の妻の変化にとまどっている男性の皆さんにメッセージをお願いいたします。

東野:夫婦の間でも言葉は大事です。相手にどんな言葉をかければいいのかというのは、相手にもよるので正解がないところですが、夫婦で一緒に考えれば会話は楽しくなっていくはずです。趣味が一緒じゃないと夫婦で会話できないのは悲しいことだと思うんですよね。

人生100年時代と言われますが、子どもと一緒に過ごす時間はせいぜい20年。子どもの方は思春期になれば親と離れたいと思いますから、実質15年ほどです。そうすると、子どもが巣立ってからが長いわけで、この長い時間を互いに愛し合う幸せな夫婦として生きていただきたいと思っています。今回の本のテーマは「産後」なのですが、そこにその先の夫婦関係の分岐点があるということを知っていただきたいです。

(新刊JP編集部)

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