読むべき本、見逃していない?

仕組み化コンサルタントが指摘する、「ウィズ・コロナ」時代の中小企業の生き残り方

ビジネスシーンにおいて「生産性」は最も重要なキーワードの一つになっている。

日本の企業は生産性が低いと指摘されるが、中小企業は大企業に比べてより生産性が劣る。その数字は、2019年版の中小企業白書によれば、大企業と比べると「0.41倍」になるという。

そんな生産性の向上と業績アップのカギを握っているのが「経営計画」と「人事評価制度」だと指摘するのが、『改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版刊)を上梓した、"仕組み"づくりコンサルタントの山元浩二さんだ。

本書で提唱している「ビジョン実現型人事評価制度」を運用していくために、経営者がすべきことは何かをお聞きした。

(新刊JP編集部)

■制度が慣例化してだれてしまう。そうならないためにどうすればいい?

――『改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』で提唱されているビジョン実現型人事評価制度は、どの規模の会社までを対象としているのでしょうか。

山元:想定は社員数が100人前後くらいまでの中小企業です。その規模ですと、人事部がない会社も多いんですよ。

――10カ年の事業計画を立てて、その中に評価の仕組みを織り込みます。10年というと長期プロジェクトになりますが、評価を受ける個人にとっては「10年と言われても...」という風になってしまうのでは、とも思います。

山元:「育成面談」で成長目標を伝えて、毎月の「チャンレンジ面談」で役割や目標の達成度をチェックしていくのですが、そこでは目先の期間だけでなく、1年先、3年先、5年先、そして10年先を意識してもらいながら、面談にのぞんでもらうことが大切ですね。

ただ、各個人の10年の成長計画を決めても、もちろん修正は必要不可欠です。会社自身の事業計画も毎年更新していくわけですから、そこに合わせて個人の役割や期待されることも変わってくるでしょう。変わらなければいけないときがきたら、それは変更対応をしていくということです。

――どんな制度でもそうですが、慣例化していくと本来の目的を見失うケースが出てきます。そうした事態にならないようにするにはどうすればいいですか?

山元:この仕組みは、毎回同じように同じことを評価するのではなく、成長に合わせて評価基準の内容も変わってくるんです。評価基準は常に進化していきますし、社員が成長し、会社に新たな戦略が加われば、新しい部署もできて、そこに新たな評価基準もできてくる。そうした"活きた"評価制度として運営していけば、マンネリ化することはありません。

――会社の成長にコミットしてもらうことで、人材の流出を防ぐことができるという点も「ビジョン実現型人事評価制度」の特徴だと思いますが、その一方で転職が当たり前という流動性の高い職種・業種もあります。そうした職種・業種との相性はどうでしょうか。

山元:会社としての方針として、10カ年の事業計画を立てて、そこに成長をしながらコミットしてもらうということを打ち出すことで、一緒に頑張っていこうという人材が集まり、残っていきます。確かに転職が当たり前という職種もありますが、全員がそう考えているわけではないと思います。

実際、私たちのクライアントの中に、人材の定着率が低かった会社がありますが、この仕組みを取り入ることで確実に定着率はあがります。定着率が低い会社によく見られるのは、トップが明確な会社のビジョンを示し、これを社員個々人の将来目標と共有していないことです。そうした課題を解決していくことで、職種・業種関係なく定着率が上がるのではないかと思いますね。

――この本の中に「情意目標」という言葉が出てきます。積極性や責任感、チームワークなど、つまりは成果以外をカバーする部分です。成果主義に陥らず、情意目標を「全社員が真っ先にクリアしなければならない」とみなしている部分も特徴だと思います。

山元:そうですね。この点については、仕事をするならば当たり前という風に考える人も多いと思います。積極性を出して取り組む、責任感を持つ、チームワークを保つ。ただ、実際に評価基準としてこれが入ってきたときに、具体的にどれだけその行動を取れたかという点を示せないといけなくなります。

この本で提唱する評価制度ではそれを具体的に書けないといけないので、最初のうちは「分かっていてもやれていないよね」ということも炙り出てくるでしょう。

――具体的に示せないといけないと。

山元:まさしくそういうことです。

――世の中は「ウィズ・コロナ」という言葉が広がっている通り、新しい生活様式、コミュニケーションのあり方が問われています。ビジョン実現型人事評価制度はこの変化に対応できるものなのでしょうか。

山元:この仕組みはどんな環境下においても通用するものと考えています。もちろんコミュニケーションのあり方が変わることによって、仕事の進め方が変わることもあるかもしれませんが、評価をするための基本的な仕組みはどんな状況でも対応できるようになっています。

例えば店舗形態の事業者ならば、常にマネージャーが店長や従業員の仕事ぶりを見ているわけではないですよね。さらにこのコロナ禍によって密を避けなければいけなくなったわけですから、これまでやっていたマネージャーと店長のミーティングを週1リモートで行うようにするとか、あるいはマネージャーは必ず月1回各店舗を半日ラウンドするといったことを行い、仕事ぶりを把握する。それを評価に結び付けていくわけですね。

コミュニケーションの取り方が変わったとしても、社員の成長を支援することには変わりません。変化に対応した術をリーダー自身が考え、運用していける会社は成長できますし、私たちもそのための支援を行っています。

――では、新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響も叫ばれていますが、中小企業の経営者の皆様にエールをお願いできればと思います。

山元:今は中小企業のチャンスの時期だと考えています。もちろん、コロナの影響は受けていると思いますが、中小以上に大手も影響を受けています。だから、今こそ自分が属している業界全体を見渡し、どんな手が打てるのかを考えていってもらえればと思います。

本書の冒頭にも書きましたが、中小企業の生産性は大企業の0.41倍と言われています。この差を埋めるためには、組織マネジメントの仕組みと人材育成です。ビジョン実現型人事評価制度は生産性を上げる一手となりえます。5年後、そして10年後には2倍以上の生産性を達成するために、今から前を向いて、本書の内容を取り組んでいってほしいと思いますね。

(了)

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